COVID-19対応も基本は同じ!
高齢者施設での感染対策の実際

医療法人社団三喜会 鶴巻温泉病院
看護部長/感染管理認定看護師
小澤美紀

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2021年2月公開

Part4感染症を疑う症状(要注意のサイン)

一般的には、発熱、咳、鼻汁、嗄声(かすれ声)、嘔吐、下痢、皮膚の発疹、尿の混濁等の症状から感染症を疑います。しかし、高齢者は明らかな症状が出ないことがしばしばあります。

また、症状が出ていても、「時々あることだから気にしない」と見過ごしてしまうこともあります。“何となくいつもと違う”ことが、感染症のサインであることもあるため、入所者の様子や食事量、体重、排泄等の変化に気づくことが感染症の早期発見につながります。症状から疑われる感染症と注意点を表1に示します。

表1症状から疑われる感染症と注意点

横にスクロールしてご覧いただけます。

症状 疑われる感染症 注意点
発熱
  • 急な高熱はインフルエンザなど、ウイルス性感染症
  • 持続する微熱の場合は結核
  • おおむね38℃以上、あるいは平熱と比較して1℃以上の体温上昇を発熱と考える
咳、のどの痛み、鼻汁、嗄声などの呼吸器症状
  • ウイルス性の上気道炎
  • 肺炎
  • 結核
  • 咳や鼻汁は感染源になるため、マスクを着用してもらい、鼻をかんだ後のティッシュは速やかにゴミ箱に廃棄する
嘔吐・下痢などの消化器症状
  • 急性の胃腸炎
  • ノロウイルスなどウイルス性胃腸炎や、食中毒も考慮する
  • 食べたものの確認や、便に血液が混入していないか観察する
  • 排便後は必ず手を洗ってもらう
発疹などの皮膚症状
  • 疥癬
  • 神経に沿って痛みを伴う発疹があるときは、帯状疱疹
  • 高齢者はさまざまな皮膚症状を示すため、感染症を疑うことが重要
食欲低下・体重減少
  • 結核
  • 普段の食事量、体重を把握しておくことで異常の早期発見につながる
  • 結核が疑われるときは、個室に隔離する
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