高齢者施設などで、看護師が行う日常ケアのさまざまな場面での感染防止対策の基本を紹介します。まずは、排泄ケアについてです。
排泄ケアは入所者にとってはデリケートなケアであり、介護者には尊厳を傷つけない配慮とともに、感染対策の徹底が求められる重要なケアです。便には多くの細菌が存在しているため、看護師や介護の人は病原体の媒介者にならないことと自分自身を守ることが重要です。
1.おむつ交換
1準備
- おむつ交換の途中で物品が不足して取りに行くことがないように、余裕をもって必要物品を準備します。また、陰部洗浄用ボトルは一人ごとに準備します。
- おむつ交換車は感染を伝播するリスクが高いため、使用しないことが推奨されます。やむを得ず使用する場合は、清潔(未使用のおむつ・手袋・エプロンなど)と不潔(汚染したおむつ、手袋など)が交差しないように配置します。
3片づけ・消毒
- 使用した陰部洗浄ボトルは洗浄した後に0.1%次亜塩素酸ナトリウム液に30分浸漬し、洗い流した後に乾燥させます。短時間では内側まで乾かすことは難しいため、スペアを準備したり、食器乾燥機を専用に設置するなどの工夫も検討します。
- おむつ交換車を使用した場合は、手袋を着用して0.02%次亜塩素酸ナトリウム液等で清拭します。特にハンドル(押し手)部分は高頻度接触面になるため確実に清拭します。日常の保管は、清潔区域(リネン庫など)や明らかな汚染区域(汚物室など)を避けます。
2.トイレ・ポータブルトイレでの排泄
1準備
- 尿取りパッドや紙パンツを着用している入所者は失禁していることもあるため、交換用を準備します。