患者さんの“できる”が増えるリハビリテーション
生活再建に向けて、病棟から在宅へつなげるケア
令和健康科学大学 リハビリテーション学部 学部長/
カマチグループ関東本部 リハビリテーション関東統括本部長
稲川 利光
2022年5月公開
リハビリテーション(rehabilitation)という言葉の語源は、ラテン語の「再び」(re)と「適した、ふさわしい状態になる」(habilis)が組み合わさったものです。中世では「名誉の回復」といった法律用語として使われていました。
リハビリテーションは「その人が望む、人間たるにふさわしい状態」になるために行うアプローチの体系です。歩けない人が歩けるようになるとか、話せない人が話せるようになるといった、ただ単に機能の回復を指す狭い意味ではなく、権利・資格・名誉の回復などを含めて生きていくことを総体としてとらえていくこと、すなわち、人間らしく生きていく権利の回復をめざすものです。
医師・セラピスト・看護師・ソーシャルワーカー・介護福祉士・ケアマネジャーなど、病院や施設など地域全体で取り組むべき重要な分野です。
リハビリテーション(図1)は、急性期から回復期、回復期から維持期へと患者さんの状態が移行するなかで行われます。急性期では廃用や合併症予防などの「予防的アプローチ」、回復期では社会復帰に向けた機能訓練やADL訓練などの「治療的アプローチ」、維持期では生活への適応や活動・参加に向けた「環境改善的アプローチ」と続きます。
リハビリテーションは急性期から維持期にかけて流れていくと言われることがあります。いわゆる「リハビリテーションの流れ」ですが、これは一方的な流れではなく、在宅に帰られてから、肺炎や心不全、骨折や廃用症候群、脳梗塞の再発などで急性期病院に再入院される患者さんも多くいます。また、回復期の病院からも急性期病院に戻られる患者さんが大勢います。そのため、合併症や再発、病状の悪化などに細心の注意を払いながらアプローチします。
急性期、回復期、維持期とそれぞれの場面にかかわるスタッフは、患者さんがその場を過ぎたら自分たちの提供するリハビリテーションは終了、というわけにはいきません。急性期の時点から、退院後の生活や復職に向けて、先を見据えたアプローチが重要です。生活の場においては、疾病の予防とともに生活維持に向けたリハビリテーションを続ける必要があります。
したがって、患者さんがご自身の望む生活を取り戻すために、病院でも地域でも、それぞれにかかわるスタッフが、病院と病院、病院と地域と相互に連携を図り、地域全体として、切れ目のないアプローチを患者さんに提供し続けていくことが求められます。
急性期から生活期まで、どの時期においても患者さんを寝たきりにさせず、持てる心身の機能を維持・改善していくかかわりが必要なのです。
稲川利光編:リハビリテーションビジュアルブック 第2版.学研メディカル秀潤社,東京,2016:6.をもとに作成
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