Part2急性期におけるリハビリテーション

令和健康科学大学 リハビリテーション学部 学部長/
カマチグループ関東本部 リハビリテーション関東統括本部長
稲川 利光

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2022年5月公開

2.早期離床が重要な急性期

長く臥床していると、四肢を動かさないことによる関節の可動域制限につながる恐れがあります。不必要な安静を避け、早期から患者さんの心身の機能維持を図っていきましょう。

意識レベルが低下した状態やバイタルサインが不安定な状態では、患者さんへの負荷に注意しながら図1に示すような四肢の関節運動を開始します。そして、状態が安定してくるに応じて、できるだけ早期から、座位や立位など、抗重力位をとってもらうようにします。

図1臥床しながらできる四肢の関節運動の例

臥床しながらできる四肢の関節運動の例

足関節の屈曲(膝を曲げた状態と膝を伸ばした状態の2通りで行う)

臥床しながらできる四肢の関節運動の例

肩関節の屈曲

臥床しながらできる四肢の関節運動の例

肩関節の外転

抗重力位とは、重力に抗して保持する体位のことをいいます。特別な運動などでとる体位ではなく、座ったり、立ったりといった日常生活で自然にとる体位です。大切なのは、自分の力で安定した正しい体位を保つことです。

人工呼吸器を装着した状態の患者さんでは座位をとることで呼吸が安定してくることがあります。臥床した状態よりも座位のほうが痰の自己喀出がスムーズにできることも多々あります。人工呼吸器を装着しているという理由だけで患者さんを臥床させておく必要はありません。

また、口腔ケアと嚥下訓練もできるだけ早期から開始します。いずれも患者さんの意識を賦活し、肺炎を予防する観点からも非常に重要なアプローチです。バイタルサインが安定していれば、患者さんが早々にベッドサイドから離れられるように環境をつくりましょう。食事はベッドサイドではなく、食堂で食べられるようにするのがリハビリテーションの原則です。

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