Part3認知症の方への看護対応のポイント

群馬大学大学院保健学研究科 教授
内田 陽子

2022年11月公開

Part3では、認知症の方、BPSDの方と接する際の考え方や工夫を具体的にご紹介します。

1.認知症の方の意思、希望とは

認知症の方に対して、“何を言ってもどうせわからない”、“何の意思ももっていない”などと思ったことはないでしょうか。もしそうだとすれば、その考えは改める必要があります。看護に当たる際にその方の人格や意思を尊重して接することは、一般的なケアでも、認知症ケアにおいても変わりません。

認知症の方の意思決定支援について、厚生労働省は「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン1」を作成しています。ガイドラインで示されている要点を、一部抜粋してまとめます。

  • 認知症の人であっても意思を確認する努力をする
  • 早期(認知症の軽度)の段階から支援する
  • 立ち会う人(意思決定支援者とは異なる人)との関係性への配慮を行う
  • 認知症の方も理解できるための工夫を行う
  • 焦らせず、適宜、そのつど確認する
  • チームで共有して毎日の生活に反映させる

認知症の方の意思決定支援の基本的な考え方を理解し、繰り返し、継続的に支援していくことが大切です。

また、終末期についても、本人の意思を尊重することが大切です。終末期の希望は、「もし自分が認知症になった場合は?」という点も含めて、認知症になる前や、認知症が軽度の段階から確認していくことが大切です。認知症が進行していても、頻回に確認していくことが求められます。
認知症だからしかたないとあきらめることなく、人生を回想しながら対話を重ねていくと、自然と最期の要望が本人から出てくることがあります。その度に意思を確認していく姿勢が、コミュニケーションに大切な要素です。

〈文献〉

  1. 1.厚生労働省:「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」.(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf
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