2022年11月公開
6.BPSDをもつ方への口腔ケア
【事例から】ベッド上での口腔ケアを拒否する患者さん
【事例から】口腔ケアがうまくいかず悩む介護者と、理想のケアを勧める歯科衛生士
(1)口腔ケアでの“お困りごと”とケアの工夫
誤嚥性肺炎予防のために、日々の口腔ケアは欠かせません。例え口から食事を摂れない方であっても、口の中の汚れをそのままにしておくことは誤嚥性肺炎のリスクとなりますし、口腔内乾燥が強いとますます摂食嚥下機能が低下し、また感染リスクも高まります。毎食後、あるいは可能な範囲で1日に1回でも、口腔内の清掃と保湿を行うことが大切です。
認知症患者さんの口腔ケアでの“お困りごと”としては、口を開けてくれなかったり、介助中の指を噛んでしまったりといった、拒否が見受けられます。
口腔ケアを拒否する原因としては、歯みがきをすることが理解できなかったり、何をされるかわからない不安から口を開けようとしない、よくわからぬまま口内に指が入ってきて反射的に噛んでしまうなど、口腔ケアへの理解・認知不足からこのような態度が生じている場合があります。
また、歯周病や口内炎など、口腔に痛みや不快感があることからケアを拒否する場合もあります。
その方がなぜ口腔ケアに非協力的なのかを考え、原因に応じた対処を考えましょう(表6参照)。
事例をもとに考えてみます。
表6 口腔ケアを拒否する原因と対応の工夫(例)
口腔ケアを拒否する原因 |
対応の工夫(例) |
- 「口腔ケア」が何のことかわからない
- 歯みがきの必要性がわからない
- 何をされるかわからず不安がある
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- 「歯みがきをしましょう」など、患者にもわかりやすい言葉で声をかける
- 看護師が自分の口を開けて歯みがきをするそぶりを見せる
- 「お口がさっぱりしますよ」など、前向きな言葉をかける
- いきなり口腔ケアに入るのではなく、説明し遠位から徐々に顔周りに触れるようにして、患者の緊張をやわらげる
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- 動作の一部を介助する(最初だけ一緒にみがくと、動作を思い出してご自身で行える場合もある)
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- 口腔アセスメントを行い、歯肉の腫れや口腔乾燥など口腔内の状態を評価する
- やわらかい毛の歯ブラシや保湿剤を使用し、痛みを緩和する
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- 口周囲や口腔内のマッサージによって緊張をやわらげる
- 患者の姿勢を安定させ、筋緊張をやわらげる
- 介助者の安全のため、開口補助具の使用も検討する
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(2)【事例から】ベッド上での口腔ケアを拒否する患者さん
- Kさん、86歳男性
- アルツハイマー型認知症
- 肺炎で入院中。回復過程にあり、本日から酸素吸入不要となった。
- 看護師が口腔ケアのために「汚れを取りましょう」「汚いからきれいにしましょうね」などと口を開けてもらおうとするが、拒否。
- 看護師のスポンジブラシをはたき落としてしまう。
【適切な接し方への手がかり】
Kさんには、看護師が持っているものが何なのか、
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