Part3認知症の方への看護対応のポイント

群馬大学大学院保健学研究科 教授
内田 陽子

一部会員限定
ページあり!

2022年11月公開

6.ここまでのまとめにかえて:認知症になると不幸でしょうか?

ここで皆さんにお伺いします。

「認知症になると“不幸”でしょうか?」

私の体験したエピソードをご紹介しましょう。
カンファレンスの場面です。独居の認知症高齢者の方(ここではAさんとお呼びします)ご本人を含めて、家に鍵をかけるべきかどうかを多職種で話し合っていました。そのときに、Aさんは一生懸命何かメモをとられていました。そのメモを見せていただくと、「今、ハッピー」という文字が私の目に飛び込んできました。Aさんご本人が、この言葉を書かれていたのです。
「どうして、ハッピーなのですか?」とお聞きしたら、Aさんは、「だって、みんなが私のことを思ってくれているんだから、ハッピーよ」と言われました。

皆さん、いかがでしょうか。もう一度お尋ねします。認知症イコール不幸でしょうか?
認知症になると不便が生じ、ケアが必要となります。しかしながらそれは、必ずしも“不幸”ではないと言えるでしょう。認知症の方に「ハッピー」と感じていただくために、私たち看護・介護に携わる者は、認知症についてご本人やご家族から学び、さまざまな知識を得て、実践を重ね、深く探求していく必要があると考えます。

ここまで、認知症のBPSDの基本と対応について、基本的な部分を解説してきました。
最後となる次章、Part4では、ここまでの解説からもう一歩踏み込んだ“応用編”として、認知症の方、BPSDをもつ方と、さまざまなケア場面でかかわる際の接し方や工夫について、失敗事例と成功事例から学んでいきましょう。

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