2022年11月公開
1.BPSDをもつ方への服薬ケア
【事例から】「毒を飲ませられる」と服薬拒否をする患者さん
【事例から】在宅でたくさんの残薬が発見された患者さん
(1)服薬ケアでの“お困りごと”とケアの工夫
認知症患者さんでみられがちな服薬時の“お困りごと”として、服薬拒否や服薬忘れが見受けられます。
原因としては、認知機能障害によって服薬の必要性を理解できなかったり、服薬のことを忘れてしまう、種類や数が多くどうすればよいかわからなくなってしまう、といった理由が考えられます。また、BPSDの症状のひとつである「妄想」があると、薬が自分にとって害をもたらすものだと思っているような場合があります。嚥下困難がある方や視覚・空間認知に障害が出ている方は、薬の飲み込みづらさや見えにくさから服薬をやめてしまう場合もあります。
ケアの際は、その方がなぜ服薬をしない・拒否するのかをアセスメントし、原因に応じた対処が必要です(表1参照)。事例をもとに考えてみましょう。
表1 服薬拒否の原因と対応の工夫(例)
服薬拒否の原因 |
対応の工夫(例) |
- 病識がなく服薬の必要性を理解できない
- 薬の存在を忘れてしまう
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- 目に入りやすい場所に服薬ボックスや服薬カレンダーを設置する
- 医師や薬剤師とも相談のうえ、本当に必要な薬かを精査する
- 在宅訪問薬剤管理や訪問看護、訪問介護等のサービスも併用する
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- 薬の種類や数が多く、いつどれを服用すればよいかわからない
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- 妄想につながる要因を取り除き、安心して服薬できる環境を整える
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- 内服用ゼリーなどを活用する
- 薬剤の形態変更を医師や薬剤師と検討する
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- 視空間認知障害があり、薬の取り残しがある
- 巧緻性低下があり、薬を取り出しづらい
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- 薬の一包化を薬剤部と相談する
- 患者と相談のうえ、薬剤の保管場所をわかりやすい1か所に決めて保管する
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(2)【事例から】「毒を飲ませられる」と服薬拒否をする患者さん
- Aさん、80歳女性
- レビー小体型認知症
- 食後、決まった時間に服薬を促すものの、Aさんは「ご飯なんてなかったしお皿に虫が這っていて気持ち悪い。その薬も毒に違いない」と服薬を拒否。
- 看護師はAさんの言い分を聞こうとせず、認知症のために自分で服薬できないと判断して一方的に薬を飲ませようとしている。
【適切な接し方への手がかり:幻覚、妄想】
Aさんの発言から考えてみましょう。「ご飯なんてなかった」「お皿に虫が這っている」という言葉から、Aさんの目には食膳がそのような状態に見えていることがうかがわれます。
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