看護師が行うアセスメントやケアの方法を、様々な角度から解説しています。
保健学博士、保健師・助産師・看護師
コンチネンスアドバイザー
榊原千秋
2021年8月公開
2016年度の診療報酬改定で排尿自立指導料が新設され、下部尿路機能障害を有する患者に対して、病棟でのケアや多職種チームの介入による下部尿路機能の回復のための包括的排尿ケアの評価を行うことで算定でき、評価されるようになりました。現在では「排尿自立支援加算」「外来排尿自立指導料」となって、入院から在宅までの排尿自立ケアがつながりました。
さらに2018年には、介護保険において、排泄障害等のため排泄に介護を要する特別養護老人ホーム等の入所者に対し、多職種が協働して支援計画を作成し、その計画にもとづき支援した場合の新たな評価として、「排せつ支援加算」が算定できるようになりました。
私たちが大切にしている「排便ケア」は、「気持ちよく排便できる」ことです。そのためには、排便のメカニズムなどを正常に理解すること、そしてポイントを押さえて情報収集し、アセスメントしたうえで適切な排便ケア方法を選択できる力が求められます。
そこで、まず排便ケアにかかわる際に知っておきたい「排便」に関する基礎知識についてお話します。
「排泄」には多くの日常生活動作が含まれています(図1)。図2のように、①尿意・便意を感じる ②トイレまで移動する、③トイレや便器が認識できる。④下着を下ろす、⑤便器に上手に座る、⑥排尿・排便をする、⑦後始末をする、⑧衣服をつける、⑨部屋にもどる、という一連の動作ができて、初めて排泄ができたことになります。
図1 排泄には多くの生活動作が含まれる
図2 排泄に関する日常生活行動の観察
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