「気持ちよく出す」ことを叶える排便ケア「気持ちよく出す」ことを叶える排便ケア

看護師が行うアセスメントやケアの方法を、様々な角度から解説しています。

Part2知っておきたい「排便」に関する基礎知識

保健学博士、保健師・助産師・看護師
コンチネンスアドバイザー
榊原千秋

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2021年8月公開

5.排便姿勢

寝た姿勢や立った姿勢では、便は出ませんね。これは、直腸肛門角という恥骨直腸筋によって形成される直腸と、肛門の角度が直角だからです。だからこそ、寝ているときや立っているときは、通常は便が出ないしくみになっています。一方、座位になり前かがみになると、直腸肛門角が120度以上に広がり、便が出やすくなります。ロダンの「考える人」のポーズをすると出やすくなります(図10~13)。

便意を感じない高齢者や寝たきりの方でも、便の性状を普通便に整え、直腸まで便が降りてきていれば、トイレに座って前かがみになることで便が出ます。座位姿勢が取れない場合は、左側臥位になって膝を曲げるなど工夫してみましょう。

図10 気持ちよく排便できる姿勢

「くの字」 ロダンで前かがみ

出やすい姿勢で、長くいきまないように心がけましょう

  • ●洋式の便器に座り、片方のひじを太ももにのせ、こぶしであごを支えて「ウーン」。まるで、ロダンの「考える人」のように上半身と下半身が「くの字」に曲がった前かがみの姿勢が排便には理想的なのです。
  • ●直腸から肛門までは通常、便が漏れないように直角となっていますが、前傾姿勢になると、この直腸肛門角が開き、スムーズに排便することができます。かかとを上げて腹筋に力を入れたり、脇腹を押さえたりするのも効果的です。
  • ●「考える人」は詩作にふけり、やや苦悶の表情を浮かべています。しかし、トイレで長くいきむのは禁物。深呼吸するなどして便意の訪れを待ちましょう。

文献1より引用

図11 直腸肛門角

図12 静止時と排便時の直腸肛門角

文献2より引用

図13 Flap Valve Mechanism

引用文献

  1. 1.ややのいえ&とんとんひろばサイト:おまかせうんチッチ 「く」の字 ロダンで前かがみ!.
    https://sorabuta.com/wp/wp-content/uploads/2020/06/%E3%81%8F%E3%81%AE%E5%AD%97%E3%83%AD%E3%83%80%E3%83%B3%E3%81%A7%E5%89%8D%E3%81%8B%E3%81%8C%E3%81%BF%EF%BC%81.pdf
  2. 2.眞部紀明,春間賢:便秘を診断する 便秘症の病態.medicina 57(9):2020,1435.

参考文献

  1. 1.榊原千秋:排泄ケアプロフェッショナルを目ざす人のためのおまかせうんチッチ MY own UNKO BOOK.木星舎,福岡,2019.
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