看護師が行うアセスメントやケアの方法を、様々な角度から解説しています。
保健学博士、保健師・助産師・看護師
コンチネンスアドバイザー
榊原千秋
2021年8月公開
口から食べものを食べて、それを排便するまでの時間は、個体差はありますが約24~72時間かかります。口腔内で噛み砕いて咀嚼した食べものは、胃・小腸・大腸を通過することで細かくなり、栄養素を吸収した後、不要なものを排泄します。
1.消化管機能
食べたものはまず、胃で胃酸や消化酵素の働きによって約5~6時間かけて消化され、小腸に流れていきます。小腸でも消化されて、ブドウ糖やアミノ酸や脂肪などに分解され、栄養素として吸収されます。その残ったカスや食繊維などの食物残渣が大腸に流れていき、便のもとになります。
食べものが消化されて胃から小腸に流れ込む時点で、体内に水分は9Lあります。その後、小腸で栄養分や水分を吸収されて大腸に流れ込んだ時点で、水分は2Lになります。大腸では水分や電解質が吸収され、食物残渣や腸の脱落粘膜や腸内細菌をもとにやがて固形化し、便の形成が進みます。上行結腸ではまだ液体で、横行結腸で粥状になります。下行結腸で半固形化し、その後固形化して便が形成されます。このような、便がつくられるまでの働きを「消化管機能」といいます。
便の硬さは、大腸での通過時間に相関します。通過時間が早いと軟便になり、遅いと硬便となります(図3、4)。
高齢になるにつれて便秘の人が増加しますが、その要因として、筋力低下や食欲の低下・薬の副作用や便意の感じにくさなどがあります。大腸そのものの働きも低下しますので、大腸の動きを助けるため、水溶性食物繊維をとるなど食事内容に気をつけたり、お腹を温めたり、マッサージするなど、腸の動きがよくなるよう働きかけます。
図3 便ができるしくみ
図4 腸内ロードマップ
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