Part1創傷・褥瘡

在宅創傷スキンケアステーション 代表
岡部美保

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2024年8月公開

【ディアケア プレミアム】症例写真でよくわかる DESIGN-R® 2020つけ方実践マスター
【ディアケア プレミアム】症例写真でよくわかる DESIGN-R® 2020つけ方実践マスター

3.施設から戻ってきた高齢者にできてしまった褥瘡、どう治す?

Key point

  • 褥瘡が発生した場合は、療養者の全身状態、局所状態、療養生活環境など、多面的に発生要因をアセスメントする。
  • 家族に褥瘡好発部位や皮膚の観察方法などを伝え、予防、早期発見に努める。
  • 療養者の状態や生活に適した体圧分散マットレスの選択は、QOL向上につながる。

1.在宅高齢者の褥瘡ケア

在宅療養者は複数の褥瘡発生要因をもち合わせ、褥瘡発生リスクの高い状態にあります。ひとたび褥瘡が発生すると、褥瘡は難治性のことが多く、ケアには苦痛を伴い、療養者や家族のQOLを低下させる要因にもなります。また、在宅高齢者の褥瘡ケアは、その家族も含めたケアが大切です。

2.褥瘡発生部位の特徴

褥瘡は、骨突出部が好発部位となります。安楽な姿勢が座位のみであった場合、褥瘡は尾骨部仙骨部などに発生します。脳血管疾患で長期臥床や関節拘縮がある場合、骨突出部以外の前前腕部と前上腕部の密着面後上腕部と前胸部の密着面などにも発症します。
また、寝たきり状態ではなくても、長時間を同じ姿勢や体位で過ごしている場合、外力が強く加わる部位に発生します。(図1〜3

図1 1日中座椅子に座りきりの認知症患者・Aさん

図1 1日中座椅子に座りきりの認知症患者・Aさん

図2 Aさんの仙骨部の褥瘡

図2 Aさんの仙骨部の褥瘡

図3 Aさんの右大転子部の褥瘡

図3 Aさんの右大転子部の褥瘡

3.褥瘡発生後のアセスメント(生活と人と局所をみる)

褥瘡が発生した場合、発生に至った要因を見きわめ、褥瘡を悪化させずすみやかに治癒に至ることができるように、創傷治癒環境を整える必要があります。それには、療養者の状態やそれぞれの家庭に合った、継続可能な最善のケアを療養者や家族と一緒に考え、検討することが重要です。

適切な薬剤や創傷被覆材を使用しても、褥瘡部の治癒環境が整わないと褥瘡の悪化や治癒の遅延が起こります。褥瘡発生要因である活動性や可動性の低下、失禁、低栄養などは、褥瘡発生後も継続する要因といえます。
また、安楽な姿勢や好みの体位、1日をどのように過ごしているのか、多くの時間をどのような場所で、どのような姿勢で過ごしているのか、なぜこの療養者に褥瘡が発生したのか、どうしてこの部位に発生したのかという、療養生活全体を見る視点が大切です。療養者の全身状態、局所状態、療養生活環境など多面的に発生要因をアセスメントし、要因の除去のためのケアを実践しましょう。

皮膚は、毎日の清拭、更衣、おむつ交換などの場面で観察を行います。毎日ケアを行う家族は、褥瘡の第一発見者になることがあります。家族には褥瘡好発部位や皮膚の観察方法などを伝え、褥瘡の予防、早期発見に努めます。
褥瘡が発生した場合、局所の観察や評価は褥瘡状態評価ツールDESIGN-R®2020を用いた評価を行います。多職種がチームとなって取り組むことが必須な褥瘡ケアにおいて、DESIGN-R®2020を用いた褥瘡状態評価はチームの共通の言語となります。また、褥瘡の重症度を具体的に数値化することにより、褥瘡状態の評価やケア方策を講じることが可能なだけでなく、治癒日数も予測できます。

最新ガイドライン、DESIGN-R®2020に基づく 新まるわかり褥瘡ケア

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