Part4認知症・せん妄

群馬大学大学院保健学研究科 教授
内田 陽子

2024年8月公開

1.意外と多い「レビー小体型認知症」の基本的な知識

Key point

  • レビー小体型認知症は記憶障害が顕著ではなく、パーキンソン病だと思われやすい。
  • 認知症に加えて、①症状の変動性、②リアルな幻視、③パーキンソニズム、④REM睡眠行動障害、⑤繰り返す転倒や失神、⑥自律神経障害があることが診断基準となる。
  • 介護者が困る症状がある場合は、その症状を医師に報告し、適切な診断につなげる。

1.パーキンソン病だと誤解されやすい

レビー小体型認知症(以下、レビー)の発生率は全認知症のうち約4~30%と文献によりさまざまです。私の経験的な感覚では、20%ぐらいでしょうか。レビーの方を見ると、「この人、認知症?」と疑問をもつ人もいます。なぜなら、アルツハイマー型認知症より記憶障害が顕著でないからです。むしろ、パーキンソニズム(体のこわばり、手足の震え、歩行障害等)があることで、パーキンソン病だと思われがちです。

2.幻視、転倒、自律神経障害などが診断の基準に

外来で患者さんを見ると、診察室に入るにも歩行が不安定で、椅子に座っても体が斜めに傾き、目を合わせようとしません。同伴された家族からは、「こんな調子で家でもよく転ぶんです。トイレ連れていこうとしてもさっさと動いてくれないし、便も出ない。おなかが気持ち悪いといって食事をしないこともあり、夜寝ていても急に大きな声をあげたり、ときどき『知らない人がいる』と変なことを言ったり、振り回されて困ります」など、介護負担を訴えられます。

この家族の訴えには、レビーの診断に重要な基準が含まれています。認知症があり、加えて、①症状の変動性②リアルな幻視③パーキンソニズム④REM睡眠行動障害⑤繰り返す転倒や失神⑥自律神経障害(起立性低血圧、めまい、便秘、腹痛、動悸などの不定愁訴など)があることです(図1参照)。
受診してもすぐに診断されるとは限りません。診断を確定するにはMIBG心筋シンチグラフィがすぐれているといわれています1。継続的な受診が必要です。

図1レビー小体型認知症の人の特徴例
図1 レビー小体型認知症の人の特徴例

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