Part3栄養・水分・服薬

藤田医科大学ばんたね病院
看護部長、摂食・嚥下障害看護認定看護師
三鬼達人

2024年8月公開

2.誤嚥させない! 食事のときの姿勢と食べさせ方

Key point

  • 頸部の位置や、ベッドの角度を調整することが、誤嚥の予防につながる。
  • 座位姿勢を安定させるには、椅子の種類の選択、机やテーブルの高さ調整、足台やクッションの準備が重要。
  • 床面に対する角度の調整により、食塊の咽頭への送り込みを改善させ、誤嚥を軽減・予防できる。

摂食嚥下ケアの際には、食物形態の調整とともに、食事姿勢と食事介助方法(食べさせ方)が重要となります。本稿では、摂食嚥下にかかわる器官の解剖学的位置関係から、効果的な食事摂取姿勢と食べさせ方について説明します。

1.摂食嚥下の解剖(図1

ヒトの成人では、「食物のルート」と「呼吸のルート」が中咽頭部分で交差・共有します。また、喉頭が腹部側、食道が背中側に位置しています。このことにより、座位姿勢での食事摂取時は、食物が口腔・咽頭を通過するときに重力の影響を受けて前側を通過しやすくなります1

また、食道の入り口は喉頭より下に位置するため、飲食物は喉頭の入り口付近を通過することになり、解剖学的に誤嚥が起こりやすい構造となります。誤嚥がある、もしくは誤嚥のリスクが高い場合は、頸部の位置を調整したり、座位姿勢にこだわらず、ベッド上で食べていただくことも考慮し、角度を調整したりすることで、誤嚥を予防できることもあります

図1摂食嚥下にかかわる解剖
図1 摂食嚥下にかかわる解剖

【咽頭の3領域】1

  • 上咽頭=頭蓋底〜軟口蓋
  • 中咽頭=嚥下時に水平位をとる軟口蓋の高さ〜舌骨大角の高さで、垂直にした喉頭蓋の先端を横切る水平面
  • 下咽頭=喉頭蓋谷〜輪状軟骨下縁

引用文献

  1. 1.野村恭也 監修,加我君孝 編,切替一郎 著:新耳鼻咽喉科学 第11版.南山堂,東京,2013:384-386.

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