A.皮膚の障害因子に対応し、体内の恒常性を保てる適応力を備えている皮膚のことです。
上出良一
2018年6月公開
健康な皮膚とは、「正常な構造、機能が保たれている皮膚」と考えられます。皮膚は身体の最も外側にあり、内外のインターフェイスとして外部環境から身体を守り、生体の恒常性を保つ重要な役割をもつ大切な「臓器」です。皮膚にはそれを遂行するための構造と機能が備わっています。外部からの障害因子としては、物理的刺激(圧力、外傷、温度、湿度、光線など)や化学的刺激(接触物、大気汚染物質など)など多くのものがあります。また、内部からの影響(疾患、栄養、ホルモン、自律神経、心理など)によっても大きな影響を受けています(図1)。
このような障害因子に対してしなやかに対応し、体内の恒常性を保てる適応力を備えている皮膚が健康な皮膚と考えられます。しかし、加齢や内臓疾患により対応力、耐久性が低下してくると、内外からの侵襲に対する適応の幅が狭まり、病的な皮膚となり、ひいては体内の恒常性が損なわれ、場合によっては生命の危機に陥ることもあり得ます。
図1皮膚障害因子
健康な皮膚は血色がよく、皮膚色には人種差はありますが、触るとしっとり、すべすべしています。また、弾力性もあり、大きなしわや色素斑(しみ)もみられません。くすみもなく、透明感があります。環境に応じた適切な発汗、皮脂分泌もあります。健康な思春期の皮膚が該当します。加齢や、その他長年の内外からの侵襲で、皮膚は多少なりともその外観、触感、機能も劣化してきます。しかし、「適切な」スキンケアを続けることで、経年劣化を多少なりともくい止めることができます。「過剰な」スキンケアではなく、皮膚の機能を鍛えつつ対応力を高め、対応できる範囲を拡げることが重要です。簡単にいえば、いろいろな環境に順応できる皮膚が健康な皮膚であり、それができない皮膚が異常な皮膚といえるでしょう。
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Part1 健康な皮膚と異常な皮膚
Part1
健康な皮膚と異常な皮膚
Part2
皮膚のアセスメントとスキンケアの基本テクニック
Part3
ハイリスク・スキントラブルへの対処