スキントラブル解決Q&APart3
ハイリスク・スキントラブルへの対処

Q10便失禁・尿失禁につきものの皮膚トラブル、どう対応する?

A.失禁関連皮膚炎では、愛護的な洗浄、保湿、排泄物からの保護が必要です。

積美保子

尿・便の曝露が原因で起こる失禁関連皮膚炎(IAD)

尿失禁や便失禁が起こると、おむつを日常的に使用する機会が増加すると思います。おむつを装着していると、殿部や陰部に皮膚障害を起こすことも少なくありません。尿・便への曝露に起因する皮膚損傷のことを、失禁関連皮膚炎(incontinence-associated dermatitis:IAD)といい、国際IAD専門家委員会や日本創傷・オストミー・失禁管理学会でベストプラクティスの作成に取り組んでいます。

IADは、褥瘡発生のよく知られたリスク要因ですが、褥瘡とIADを区別し、予防対策や治療・ケアを行う必要があります。IADなのか褥瘡なのかスクリーニングするためのポイントは表1、図1のとおりです。

表1 IADと褥瘡の比較

IAD 褥瘡

尿や便に接触する皮膚のどこにでも発生する可能性がある

主に骨突出部位への圧迫による損傷

影響を受けた皮膚は赤くなる

壊死に陥ると暗赤色、黒色の変化を起こす

皮膚損傷のパターンは通常の拡散である

損傷部位の辺縁が明確である

皮膚損傷の深さは、通常壊死組織のない部分の皮膚表面の範囲である

皮膚損傷の深さが異なることがある

図1褥瘡とIAD

局所ケアのポイント

局所ケアのポイントは、褥瘡では外力の除去が必要になりますが、IADでは予防的なスキンケア、特に愛護的な洗浄・皮膚の保湿・排泄物からの保護(被膜)、排泄ケアが重要です。予防的なスキンケアでは、摩擦を避け、弱酸性の洗浄剤を十分に泡立て、汚物を浮き上がらせるようにして取り除きます。洗浄は1日1~2回程度に控えます。また、洗浄後の皮膚はなるべくすみやかに保湿剤を塗布し、保湿、被膜を行い皮膚表面の保護を行います。

排泄ケアのポイント

排泄ケアに関しては、尿失禁時には排尿日誌で排尿パターンや尿失禁の状況を把握します。そのうえで、排尿の自立への支援や体型、尿失禁量に応じたおむつの選択、感染尿にも留意し、必要時泌尿器科受診を考慮します。便失禁時にも、排便日誌にて排便パターンや便失禁の状況を把握します。下痢状態では皮膚炎が悪化しますので、整腸薬や止痢薬の使用や食物繊維の摂取を積極的に行い、有形便で定期的に排便できるように便性状を整えます。スキンケアでは、撥水作用のある皮膚被膜剤を使用し、粘性のある便が吸収されやすいよう軟便用のパッドを選択し、排便が皮膚に付着しないように整えます。下痢便の状況に応じて排便管理システムも考慮します。

参考文献

  1. 1.樋口ミキ:排尿機能障害のスキンケア.一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会編:排泄ケアガイドブック.照林社,東京,2017:230-238.
  2. 2.渡辺光子:排便機能障害のスキンケア.一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会編:排泄ケアガイドブック.照林社,東京,2017:239-246.
  3. 3.市川佳映,大桑麻由美:IAD(失禁関連皮膚障害)予防・ケア.一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会編:スキンケアガイドブック.照林社,東京,2017:231-243.

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