スキントラブル解決Q&APart3
ハイリスク・スキントラブルへの対処

Q3放射線皮膚炎のスキンケアはどう行う?

A.照射部位はドライスキンになりやすいため皮膚に刺激を与えないようにします。

高木良重

放射線療法による皮膚炎

放射線療法は、皮膚を通過して治療が行われます。そのため、放射線が通過する過程で特に細胞分裂の盛んな基底層が影響を受けます。その結果、角質層の減少や消失をもたらし、皮膚の菲薄化や皮膚の水分保持ができずドライスキンの状態となり、表皮欠損や落屑(らくせつ)を生じます(図1)。また、真皮の微小血管も放射線の影響により、浮腫や炎症をきたし、皮膚症状として発赤やびらんをもたらします。症状は、治療開始~終了直後に起こる場合(急性有害事象)と、治療3か月~数年後に発生する場合(晩発性有害事象)があります。前者は照射量によって症状が異なり、治療を終えると回復することが多いです(表1)。しかし、晩期に発生する潰瘍形成を伴う皮膚障害では治療が困難なことがあります。また、放射線治療後に化学療法を行った場合、照射部位に皮膚障害を起こす(リコール現象)こともあります(表2)。

図1放射線による皮膚炎

肺がん再発に対する外照射
(右肺~右鎖骨上窩、縦隔)
61.6Gy/28day
肛門管がん再発に対する外照射

表1 放射線照射線量と急性期有害事象

照射線量 皮膚症状
20~30Gy

発赤、紅斑、乾燥

30~50Gy

著明な発赤、腫脹、疼痛

50~60Gy

水疱、びらん、易出血

60Gy以上

潰瘍、壊死

表2 リコール現象発症につながる抗がん剤

種類 薬剤名
抗がん性抗生物質

ドキソルビシン

アルキル化薬

シクロホスファミド

代謝拮抗薬

メトトレキサート、フルオロウラシル、ゲムシタビン

チュブリン阻害薬

タキサン系薬

放射線皮膚炎へのスキンケア

スキンケアの基本は、皮膚の清潔保持と外的刺激からの保護です。治療前から皮膚状態や日常生活における危険因子を把握し、皮膚の生理機能保持と刺激を最小限とするような工夫が求められます。

1.皮膚の清潔

放射線照射により皮膚はドライスキンになりやすいため、皮膚に刺激とならないように弱酸性洗浄剤を選択します。洗浄時には洗浄剤をよく泡立て、ゴシゴシ擦らないようにします。拭き取りタイプの洗浄剤を使用することで、刺激を最小限にすることもできます。また、洗い流しで用いる湯の温度をぬるめにすることで、皮脂が取り除かれることを防ぐことができます。

2.外的刺激からの保護

皮膚への刺激として、「擦る・引っ掻く」といった物理的刺激と「触れる・当たる」といった化学的刺激があります。

①物理的刺激を避ける

特に、照射部位を擦る行為は皮膚損傷しやすいため、皮膚に刺激を与えないような工夫が必要となります。掻痒感がある場合には、皮膚表面にやさしく触れる、もしくは軽くパッティングをする程度にしましょう。衣類を選ぶ際も柔らかいものとし、毛や麻など皮膚に刺さるような素材を避けます。また、襟や袖に糊が利いたものは皮膚への刺激となるため、糊を使わない、もしくはスカーフや柔らかいタオルなどを間に入れ、硬い衣類が直接皮膚に接触しないようにしましょう。絆創膏や湿布の貼付も粘着および剥離が皮膚刺激をもたらす場合があります。使用を極力避けることが望ましいですが、どうしても使用が必要な場合は皮膚刺激の弱いものにし、最小限の貼付としましょう。

②化学的刺激を避ける

クリームやパウダーに含まれる成分のなかには、照射の際散乱線を生じることもあります。クリームを塗布した厚みが治療の効果に影響することもあるため、治療部位への塗布は避けるようにします。保湿としてクリームなどを使用している場合は、照射後に塗布するようにしましょう。温泉やプールの成分によっては皮膚刺激となるため、治療中には避けるようにしましょう。紫外線も皮膚刺激となるため、外出時は帽子や日傘で直接当たらないようにします。

参考文献

  1. 1.濱口恵子,久米恵江,祖父江由紀子,他編:がん放射線療法ケアガイド 新訂版.中山書店,東京,2013:103-110.

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