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皮膚のアセスメントとスキンケアの基本テクニック

Q1一般的な皮膚のアセスメント法は?

A.視診・触診・問診によってアセスメントします。

清藤友里絵

身体の表面を覆う皮膚は最大の臓器ともいわれています。そして、身体の内部と外部の影響を受け、多くのサインを発しています。そのサインを見逃さないように五感(目:見る、耳:聴く、鼻:嗅ぐ、口:尋ねる、手:触る)をはたらかせて、観察することからアセスメントが始まります。

視診

  1. 皮膚の色:蒼白、チアノーゼ、黄疸、紅斑、紫斑など。
  2. 皮膚の艶、弾力、しわ、たるみなど。
  3. 皮膚の乾燥と湿潤。
  4. 浮腫。
  5. 皮膚病変や創傷:斑、丘疹・結節、膨疹、水疱・膿疱、鱗屑、痂皮、表皮剥離、びらん、潰瘍、亀裂、萎縮、瘢痕など。
    これらの部位と範囲、程度を確認します。

触診

  1. 皮膚温:熱感と冷感、全身か局所か。
  2. 皮膚の弾力性(皮膚をつまんで確認)。
  3. 皮膚の滑らかさ:ザラザラ、ツルツルなど。
  4. 皮膚の湿潤:ベトベト、シットリ、サラサラなど。
  5. 浮腫(皮膚を指の腹で軽く押し、元に戻る時間を確認)。
  6. 皮膚の変調:腫脹、硬結など。

問診

  1. 年齢。
  2. 主な症状。
  3. 症状がある場合は、発症の時期と変化(増強・軽減の過程か)、部位と範囲。
  4. 既往歴。
  5. 治療歴:薬剤(抗がん薬、ステロイド薬、利尿薬など)、放射線療法、人工透析など。
  6. 生活習慣・環境(表1)。
    自覚症状を適切に表現することが難しい場合は、家族から情報収集します。

表1 生活習慣・環境

  • 食事・水分摂取の状態
  • 可動性・活動性、セルフケア能力
  • 失禁の回数、排泄物の性状など
  • 失禁ケア:おむつやパッドの種類、交換頻度、交換時のスキンケア方法など
  • 清潔ケア:入浴・シャワー浴・清拭の頻度、洗浄剤の種類、洗い方など
  • スキンケア:保湿剤の種類、塗り方、回数など
  • 体圧分散ケア:体圧分散マットレス・クッション、体位変換など
  • 医療処置:チューブ類の固定用テープ、弾性ストッキング、リストバンド、抑制帯、NPPV用マスク、ギプス・シーネなど
  • 環境:紫外線対策、室内温度・湿度、冷暖房や電気毛布などの使い方、ベッド周囲の環境、寝具や着衣の素材など

その他

  1. におい:創感染や失禁の有無、清潔習慣などがわかる。
  2. バイタルサイン。
  3. 血液データ:血清総タンパク、血清アルブミン、血清ヘモグロビン、赤血球、血小板、白血球、炎症反応、凝固系、肝機能、腎機能、微量元素(亜鉛、鉄、銅)、血糖など。

その対象によって観察ポイントの優先度が異なります。例えば、寝たきりの患者が入院した場合は、得手体位を考慮した褥瘡好発部位の皮膚状態を観察する必要があります(図1)。発熱が伴えば、発汗による皮膚障害が発生しやすい部位に浸軟や汗疹などが生じていないかを観察します(図2)。紙おむつを着用していれば失禁している可能性が高いため、排泄物による皮膚障害がないか、湿潤環境による真菌感染がないかなどを確認します。また、自宅でのADLや生活習慣、食事摂取状況などを家族から情報収集します。

糖尿病の患者が外来を受診した場合は、糖尿病患者に多くみられる皮膚症状である乾燥、浮腫、皮膚感染症(白癬、カンジダなど)や胼胝、靴ずれなどの足部の傷の有無を確認します。感染を合併し、重症化しやすい一方で、末梢神経障害により痛みを感じにくいため、問診だけでなく足部の皮膚状態を直接観察します。このように、疾患や治療により皮膚に現れやすい症状(表2)を把握し、リスクを念頭におきながら対象を多角的にとらえてアセスメントすることが重要です。

図1褥瘡の好発部位

日本褥瘡学会編:観察部位.在宅褥瘡予防・治療ガイドブック 第3版.照林社,東京,2015:37.より改変して引用

図2発汗により皮膚障害が生じやすい部位

表2 疾患と治療に伴う代表的な皮膚症状

糖尿病

浮腫、乾燥、掻痒、菲薄、角質肥厚(胼胝・鶏眼)、皮膚感染症(白癬・カンジダ・毛包炎など)

呼吸器系疾患

蒼白、チアノーゼ、皮下気腫(肺から空気が漏れて皮下に気腫をつくる。指で圧迫すると泡をつぶすような手触りで捻髪音を呈する)

循環器系疾患

蒼白、チアノーゼ、上肢の冷感・熱感、下肢の静脈瘤、浮腫(眼瞼、上半身、下肢、仰臥位では背部)など

肝疾患

浮腫(腹水から始まり、下腿から全身へ変化する)、黄疸、乾燥、掻痒、菲薄、点状出血

腎疾患

浮腫(特に眼瞼、顔面、ネフローゼでは全身にみられる)、乾燥、掻痒
膿疱・丘疹から潰瘍に移行→壊疽性膿皮症

炎症性疾患

大動脈炎症候群、炎症性腸疾患など

膠原病

浮腫性紅斑、色素沈着、色素脱失、潰瘍→皮膚筋炎

透析療法

乾燥、掻痒、色素沈着

ステロイド療法

乾燥、菲薄、紫斑、萎縮、点状出血

がん化学療法

乾燥、掻痒、皮疹、紅斑、色素沈着、落屑、水疱、びらん

放射線療法

急性期:紅斑、浮腫、水疱、びらん、潰瘍
慢性期:乾燥、色素沈着、色素脱失、瘢痕、萎縮、角化、潰瘍

*前面の照射野だけでなく照射野背面も観察する

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