Q10続発疹って何?
A.続発疹とは、経過中に発疹の性状が変わったものです。
上出良一
2018年6月公開
何らかの発疹が経過中に性状が変わって生じたものを続発疹と総称します。これには多数の発疹が含まれますので、簡単に記載するにとどめます(表1)。
表1 続発疹
欠損 |
表皮剥離、びらん、潰瘍、瘢痕、亀裂 |
隆起または陥凹 |
胼胝、萎縮 |
付着物 |
鱗屑・落屑、痂皮 |
膿貯留 |
膿瘍 |
特別な発疹 |
色調の変化、紅皮症(黒皮症、リベド、多形皮膚萎縮)、隆起、苔癬、苔癬化、ざ瘡(面皰)、毛瘡、コンジローム、乳頭腫、局面 |
水疱・膿疱が群生 |
疱疹、天疱瘡、膿痂疹 |
皮表の変化 |
粃糠疹、魚鱗癬、乾皮症、硬化、脱毛症、脂漏 |
発疹なく痒みのみ |
掻痒症 |
欠損
- ①表皮剥離:掻破などにより皮膚が欠損したもの
- ②びらん:表皮、真皮浅層の欠損で治癒後瘢痕を残さない(図1)
- ③アフタ:粘膜の小潰瘍
- ④潰瘍:びらんより深部(真皮中層以下、脂肪織、筋肉)まで欠損し、治癒後瘢痕を残す(図2)
- ⑤瘢痕:欠損した正常組織が線維性組織で置換された状態。萎縮性瘢痕と肥厚性瘢痕がある
- ⑥亀裂:肥厚した角質層が割れて、時に出血する
図1びらん
図2潰瘍
隆起または陥凹
- 胼胝:物理的刺激による角質層の限局的肥厚。いわゆる「たこ」。
- 萎縮:組織の量的減少、菲薄化。
付着物
- 鱗屑・落屑:角質層が小板状に剥離した状態。
- 痂皮:びらんないしは潰瘍面を覆う、乾固した滲出液、分泌物、血液、壊死組織。いわゆるカサブタ。
特別な発疹
1.色調の変化
- 紅皮症:ほぼ全身に紅斑が生じた状態。落屑を伴うことが多い。
- 黒皮症:全身性びまん性の色素沈着。
- リベド:粗大網目状、樹枝状の色素沈着を伴った紅斑(図3)。
- ポイキロデルマ、多形皮膚萎縮:乾燥粗造、毛細血管拡張、色素沈着、脱失が混在した萎縮性局面(図4)。
2.隆起
- 苔癬:丘疹が持続性にみられる。
- 苔癬化:掻破、擦過により表皮が限局性に肥厚し、皮丘、皮溝が顕著になった状態(慢性湿疹の状態、図5)。
- ざ瘡:毛包一致性の丘疹、膿疱、面皰が混在した状態。
- 面皰:開大した毛包開口部に充満した角質、皮脂。
- 毛瘡:須毛部の慢性の毛嚢ないしは毛嚢周囲の膿疱形成。
- コンジローマ:外陰部に乳頭状、顆粒状の柔軟な丘疹が群生。
- 乳頭腫:皮膚から乳頭状に突出する丘疹、結節。
図5苔癬化(表皮肥厚、皮丘・肥厚が顕著)
水庖・膿庖が群生
- 疱疹:小水疱、小膿疱が群生した状態。病名としても用いられる。
- 天疱瘡:大型の水疱が多発した状態。びらん、痂皮が二次的に生じる。
- 膿痂疹:膿疱、痂皮が混在した状態。
皮表の変化
- 粃糠疹(ひこうしん):細かい米ぬか様の落屑。
- 魚鱗癬:皮野に一致した鱗様の落屑(図6)。
- 乾皮症:乾燥して粗造な皮膚。
- 硬化:主に線維化による皮膚が硬く触れる状態。
- 脱毛症:毛が疎または欠如した状態。
- 脂漏:過剰に分泌された皮脂が皮膚に固着した状態。
図6魚鱗癬
掻痒症
痒みのみで発疹がみられない状態。掻破による二次的発疹はありうる。
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