A.トラブルの種類、周囲皮膚、発生部位、程度、自覚症状などからアセスメントします。
清藤友里絵
2018年6月公開
視診・触診・問診により情報収集し、全身状態や対象を取り巻く環境が及ぼす影響を念頭におきながら局所の状態をアセスメントすることが重要です。
皮膚障害には原発疹と続発疹があり、その特徴を知ることが重要です。まず局所に着眼して皮膚障害の状態を観察します。次に視野を広げて周囲皮膚の状態を観察し、浮腫、乾燥、浸軟などの有無と程度を確認します。さらに視野を広げて発生した部位を確認します。身体のどの位置か(例えば骨突出部に近い、肛門に近いなど)、また医療用テープの貼付部や酸素マスクの装着部など、皮膚に接するものとの位置関係も確認します(図1)。
図1皮膚トラブルのアセスメント
①表皮が剥離している状態で、創の深さは真皮に留まる。創内には紫斑が点在し、一部に皮弁が残っている
②周囲皮膚に紫斑がある。感染徴候はない。隣接してもう1つの表皮剥離があり、皮弁はほとんど残っていない
③部位は左の前腕。広範囲に紫斑が点在し、浮腫がみられる。スキン-テアの可能性が高い
④他の部位の皮膚を確認すると、右前腕にも浮腫による皮膚の菲薄と紫斑がある。表皮剥離はない。両上肢ともにスキン-テア発生のリスク状態にある
深さの見方を図2に示します。範囲では単発なのか多発なのかも確認します。炎症や感染徴候(発赤、熱感、腫脹、硬結、疼痛)がある場合は、重度である可能性を示します。
図2創の深さ
程度を示す評価システムとして、褥瘡にはDESIGN-R®評価(図3)、スキン-テアには日本語版STARスキンテア分類、ストーマ周囲の皮膚にはABCD-Stoma®(図4)などがあります。原因が明らかであれば、これらの評価システムを活用し評価しましょう。DESIGN-R®評価の観察項目は褥瘡以外の創傷にも活用できます。
図3DESIGN-R®(褥瘡経過評価用)
図4ABCD-Stoma®
疼痛や掻痒感(カテーテル挿入部)などの自覚症状を確認します。症状は常にあるのか、どのようなときに増強・軽減するのかなどについても確認します。症状を訴えられない場合は、表情(触ると顔をしかめる)やしぐさ(手で掻いている、ひっかき傷がある)などから推測します。
いつから症状があるのか、現在は増強・軽減の過程なのか、その変化について確認します。発症のきっかけとして思い当たることがあるかについても確認します。
スキントラブルの直接的な原因を探ります。スキントラブルの対応策を導くためにも原因を知ることは重要です。「医療用テープを剥がしたときに生じた剥離刺激」「弾性ストッキングのしわで圧迫された紅斑」「便失禁があり便の付着によるびらん」「持続する圧迫による褥瘡」などと発生部位に何が生じていたかを考えます。さらに、その褥瘡の原因は圧迫が主なのか、圧迫に加え強いずれ力も生じていたのか、その方向は、などと追究していきます。褥瘡の部位や形状、日々の姿勢などからアセスメントします(図5)。
図5仙骨部から尾骨部にかけての褥瘡
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Part2 皮膚のアセスメントとスキンケアの基本テクニック
Part1
健康な皮膚と異常な皮膚
Part2
皮膚のアセスメントとスキンケアの基本テクニック
Part3
ハイリスク・スキントラブルへの対処