スキントラブル解決Q&APart3
ハイリスク・スキントラブルへの対処

Q1高度に脆弱な皮膚状態にあるICU患者へのスキンケア方法は?

A.全身状態の機能が低下しているICU患者へのスキンケアでは患者の身体への負担を考慮します。

志村知子

ICUで治療を受ける患者の多くは、重篤な病態によって生命の危機状態にあります。身体への侵襲によって生じる神経・内分泌反応や免疫機構に関する生体反応は、真皮線維の萎縮や浮腫を誘起し、皮膚の生理機能を大幅に低下させます。このような患者に対するスキンケアのポイントを以下に示します。

皮膚の清潔を保つ

患者の皮膚に付着する汚れには、皮脂や汗、剥がれた角質層、血液、滲出液、排泄物などの内因性の汚れと、細菌や埃、医療用品の成分などの外因性の汚れがあります。皮膚の清潔を保つことはすべての患者に対するスキンケアの基本であり、これらの汚れを蓄積させないよう保清に努めることが大切です。

保清効果の高い清潔ケア方法は入浴やシャワー浴ですが、ICU患者の多くは活動性が制限されるため、清拭や局所浴が主に選択されます。その場合、用いる石けんや洗浄剤は皮膚のpHに近い弱酸性のものを選び、洗浄効果を高めるためによく泡立てて使用します。泡状の洗浄剤(図1)を用いると簡便に実施することができます。洗い流す必要がない清拭剤を用いることも有用です。

図1泡状洗浄剤

ベーテルTM F
(越屋メディカルケア)

シルティ 水のいらないもち泡洗浄
(コロプラスト)

清潔ケアにより失われた皮脂成分を補う

皮膚の最上層にある表皮は、弱酸性の皮脂膜により外界の有毒物質や細菌から保護されています。しかし、ICU患者は生体機能の低下によりドライスキンの状態にあることが多く、皮膚がもつ本来の保護機能が発揮されません。そのため、清拭後は皮脂成分を補う保湿ケアを行います。特に、石けんや洗浄剤を用いた場合、皮膚の汚れが除去されると同時に皮脂膜も取り除かれるため、角質層の水分が蒸散して皮膚が乾燥しやすくなります。そのため、洗浄剤を用いた清潔ケアは1日1~2回程度にとどめ、洗浄剤を使用した後は失われた皮脂成分を補うために保湿剤を用います(図2)。

図2保湿・撥水剤

セキューラ®DC
セキューラ®PO
(スミス・アンド・ネフュー)

リモイス®バリア
(アルケア)

ベーテルTM 保湿ローション
(越屋メディカルケア)

外界の刺激(機械的・化学的刺激)から皮膚を保護する

清潔ケアを行う際に、繊維の織り目が粗いタオルなどを使用すると、ICU患者の脆弱な皮膚に過剰な機械的刺激を与えてしまいます。そのため、よく泡立てた洗浄剤を皮膚に乗せるように置き、数分間放置して汚れを浮き上がらせた後に微温湯で洗い流す方法を用います。洗い流すのが難しい場合は、霧吹きを用いて局所的に洗い流す方法もあります。失禁や滲出液を認める場合や皮膚が浸軟している場合は、撥水剤を使用して皮膚を保護します(図2)。

身体への負担を低減する

ICU患者にとっては、清潔ケアそのものがエネルギーを消耗させ、身体への負担を増強させる一因になります。そのため、できるだけ負担をかけない清潔ケア方法を選択する必要があります。清潔ケアは一度にすべてを行わず、部分的に行いながら、数日かけて全身の保清が行えるように計画します。

参考文献

  1. 1.日本看護協会認定看護師制度委員会創傷ケア基準検討会編:スキンケアガイダンス.日本看護協会出版会,東京,2002.

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