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ストーマ合併症を知っておこう
排尿障害と自己導尿

2015年5月公開

術後排尿障害

直腸がんや子宮がんなどの根治手術を行うと排尿障害が起こることがあります。排尿障害は、手術のときに、排尿機能をつかさどる神経がどれくらい損傷されたかによって症状が異なります。

または、手術後の化学療法や放射線照射が原因で排尿障害になることもあります。骨盤内の神経が損傷された場合は、損傷の程度や損傷された神経の部位によって、尿意が低下したり尿が出なくなったり、尿の排出困難や尿失禁がみられます。

術後の排尿障害が起こっているかどうかの目安を表1に示します。術後に排尿困難や尿失禁がある場合には、さまざまな検査が行われ、その程度に応じた対策や治療が行われます。骨盤内の手術後の排尿障害(排尿困難・尿閉・残尿)の場合は自己導尿を行ってもらいます。

術後の排尿障害が軽度な場合は、一時的に治療や対策が必要でも、一般的には手術後、半年くらいで機能が回復してきます。尿失禁がある場合には、失禁の量などから適切なパッドを選択して、スキンケアに気をつけます。

腹圧性尿失禁と診断された場合には、骨盤底筋の訓練が効果的です。定期的にストーマ外来や失禁外来を受診しましょう。

表1 排尿障害の目安

尿の勢いがない、尿がすっきり出ない

力まないと尿が出しきれない

残尿、尿が出ない

尿意の低下や消失

膀胱が広がりにくい

自己導尿

自己導尿は、1日に数回、自分で尿道からカテーテルを入れて尿を取る方法です。膀胱の容量が500mLを超えないように一定時間ごとに導尿します。

自己導尿は、事前に看護師の指導を受けてから行います。

術後の経過とともに残尿が減少し、自己導尿の回数を減らしたり、中止できたりする場合も多いのですが、自己判断で中止することはやめてください。自己導尿を中止するときは、必ず医師の診察を受けましょう。