2021年7月更新(2015年5月公開)
障害年金は、病気やけがで日常生活や仕事が制限されるような場合に、65歳未満でも受け取ることができる年金です。
障害の程度によって1級・2級・3級に区分され(表1)、等級によって受給額が決まります。受給額は毎年見直しが行われている。受給対象者は被保険者本人です。
表1 障害の程度
障害の程度 | 障害の状態 |
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1 級 |
身体の機能の障害により日常生活の用を他人の介助を受けなければ、ほとんどすることができないもの |
2 級 |
身体の機能の障害により日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とするもの 必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、労働により収入を得ることができないもの |
3 級 |
身体の機能に労働が制限を受けるか、または労働に制限を加えることを必要とするもの |
人工肛門または新膀胱を造設した、あるいは尿路変更術を施した場合は3級、以下の場合は2級と認定されます。
・人工肛門を造設し、かつ新膀胱を造設したまたは尿路変更術を施した
・人工肛門を造設し、かつ完全排尿障害(カテーテル留置または自己導尿の常時施行を必要とする)状態にある
障害年金には、①障害基礎年金、②障害厚生年金の2種類があります(表2)。2015(平成27)年10月1日より前は、これに③障害共済年金があったが、被用者年金制度の一元化が実施され、公務員等の共済年金が厚生年金に一元化されたため、現在は①②の2種類となっています。
ただし、障害認定日が平成27年9月30日以前であり、障害認定日時点で障害等級に該当した場合は、障害認定日時点に遡って「障害共済年金」の受給権が発生することになるため注意が必要です。
障害基礎年金 1級または2級 |
障害厚生年金 1級、2級、3級 |
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国民年金に加入している人が1級または2級の障害状態と認定されたときに支給 |
厚生年金に加入している人が1級~3級の障害と認定されたときに支給 |
消化管ストーマ(イレオストミーまたはコロストミー)と尿路ストーマ(ウロストミー)の両方を造設した方や、ストーマがあり、さらにその他の障害がある方などが対象となる |
永久ストーマを造設した人は、原則として障害厚生年金3級の障害に該当。ただし、障害の原因となった傷病の初診日に厚生年金の被保険者であること等が条件 消化管ストーマ(イレオストミーまたはコロストミー)と尿路ストーマ(ウロストミー)の両方を造設した人や、ストーマがありさらにその他の障害がある人は、1級または2級に該当することもある ストーマ造設時は仕事を辞めていて、厚生年金の被保険者でなくても、原因疾患の初診日が被保険者期間中と認定されれば、障害厚生年金の対象になる可能性がある |
[問合せ先]市区町村役所 | [問合せ先]日本年金機構 |
障害年金を受けられるのは、65歳未満で老齢基礎年金の受給者でない人です。次の要件をすべて満たしている必要があります。
国民年金や厚生年金に加入しているとき(被保険者期間)に、原因になった病気の初診日があること
障害認定日(障害の程度の認定を行うべき日のこと)あるいは現在、一定の障害の状態にあること
保険納付要件
「人工肛門造設や尿路変更術施行の場合」、「完全排尿障害になった場合」の障害認定を行う時期は、それらを行った日から6か月を経過した日、「新膀胱を造設した場合」はその日となっています(初診時から起算して1年6か月を超える場合を除く)。
保険料納付要件
障害年金申請の窓口は、初診日に国民年金加入していた場合と厚生年金や共済年金加入していた場合とで異なります。国民年金加入の場合は市区町村の国民年金課であり、厚生年金や共済年金加入の場合は年金事務所となります。
申請の手続き(図1)は、窓口に年金手帳・印鑑・身分証明書をもって行き、請求要件に該当するか否かを相談して、請求に必要な書類一式を受け取ります。このとき、病歴を書いたものを用意しておくとよいでしょう。診断書は医師に依頼し、その他の必要書類を用意して窓口に申請します。認定までには、数か月かかることがあります。
永久ストーマの場合は、障害等級3級に認定されますが、3級は厚生年金・共済年金にのみ設定されていて、基礎年金では該当しません。
消化管ストーマと尿路ストーマの両方を造設した人や、ストーマがあってさらにその他の障害がある人は2級以上の対象となる場合があります。
ストーマを持つ人は、造設手術を受けた日が障害認定日となります。詳しくは、各窓口に問い合わせてください。
図 1 障害年金の申請手順
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