2015年5月公開
排泄は基本的にトイレで一人で行う行為である。ストーマ造設前には、通常便意や尿意を感じると自然にトイレまで行き(図1)、排泄準備を整えて、自分には見えない位置にある生来の肛門や尿道口から排泄を行い、爽快感や気持ちよさを味わうことができた。
便が出るのかガスが出るのかを感じ分けることもでき、さらに排出(便と尿)を分けることもできた。
便意や尿意があればトイレに行く
図1 術前の排泄習慣
ストーマが造設されると排泄経路も変更され、自分の見える腹部に造設された消化管ストーマからは便やガスが、尿路ストーマからは尿が排泄されるようになる。
便意や尿意が失われ、禁制型ストーマを除き、便・ガスや尿を溜める直腸や膀胱も失われ、不随意にストーマから排泄される。
ストーマは括約筋がなく完全失禁の状態となり(尿路ストーマは持続的に尿が排泄される)、失禁状態の便・ガスや尿を管理するためにストーマ装具を貼付することが必要となる。排泄後の爽快感や気持ちよさは感じることができなくなる。
術後は一時的に排泄を他者に委ねることとなる。
これまで備わっていた排泄習慣の変化、ボディイメージが大きく変化することから、容易に自尊心の低下を招く。
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