2015年5月公開
ストーマ造設術後の一時期を除いては、運動が可能となる。ウォーキングやゴルフ、水泳など運動の内容によってストーマ装具の安定性への影響が異なるが、対処法を知って楽しく身体を動かしてもらいたいものである。
運動の開始時期は、主治医と相談する。
開腹術後の創傷治癒は再生上皮による上皮化が24時間以内に始まって48時間以内に完成する。術後3日目頃から3週間で線維芽細胞の増生、コラーゲン線維の産生によって肉芽が形成されるため、縫合した創部の抜糸が可能となる。
術後3週頃から数か月間で線維芽細胞が減少し、成熟した線維組織へと変化する。瘢痕組織となることで、創部の強度が増す。そのため、創傷治癒が完了する前に強く腹筋を使う腹圧がかかる動きをすると創の離開につながる可能性があるため、その間の腹圧が強くかかる運動は避けたほうがよい。
それ以降の運動は、原則として制限されるものはないが、運動の内容や運動時間によっては体温の上昇と発汗量が装具の粘着力に影響する。
本格的な運動をする人の中には、日常生活と運動するときとで装具を使い分ける場合もある。
患者の中には、身体の回復とともに、手術前にしていた運動や手術後の体力の向上を目指して、新たに運動を始める人もいる。そのような場合、例えば、水泳をするときには、水着は装具が目立ちにくいタイプ(男性はトランクス型、女性はフレア付など)の選択や装具も薄手のものを選ぶなどを指導する。
また、ゴルフでは、プレイ後の入浴がセットになっていることが多いため、入浴時に交換する装具も携帯し、公衆浴場に入る際の留意点も伝えておく。
運動に応じたストーマケアの工夫をすれば、楽しく快適に身体を動かすことができる。
対処法
日常的に発汗量が多い運動をする場合は、皮膚保護剤の耐久性が高いものを選択する。運動後に装具を交換することを考慮してよい。
激しい運動や長時間の運動では、万が一に備えてテープ付き装具やストーマベルト(図1~3)が併用できる装具を勧める。
図1 ストーマベルト
メーカーが異なると適合しない場合がある
図2 クリップタイプのストーマベルト
どのメーカーでも適合する
図3 ベルトの接合部に接触する皮膚は、下着やガーゼハンカチ等で覆うとよい
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