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ストーマサイトマーキングの目的

ストーマサイトマーキング(stoma site marking)とは、「術前にストーマを造るべき位置を体表上に選定して同部に印を付けること」である

ストーマサイトマーキングの目的は、術後のストーマの合併症を予防することである。患者が管理しやすい最も適した位置にストーマを造設して、術前の生活に戻ることを容易にするために行う。

管理しやすい位置にストーマを造設するためには、皮膚保護剤が密着できるような安定した平面に造設されることが大切である。

ストーマの位置が悪いとストーマ管理に難渋し、患者のセルフケアのみならず、心理面・社会面にも影響する。そのため、ストーマサイトマーキングはストーマ造設術の前に必ず行わなければならない。

ストーマサイトマーキングを実施する際、術後の日常生活活動を念頭におき、患者が可能な限り管理しやすい位置にマーキングする。

患者が自分の体にストーマの部位を決めることで患者がストーマをイメージしやすくなる。

マーキング実施時期は、術前オリエンテーション時、あるいは手術前日に行う。医師と看護師との両者で行う。

手術前日は、麻酔科医などの術前訪問や術前処置など多くのスケジュールが組まれている。患者自身も精神的な余裕がないため、2~3日前のマーキングが可能であれば、手術までの時間にゆとりがあり、ストーマが造設された自分を考える機会となる。

マーキングの前提条件

ストーマサイトマーキングを実施する前に、患者の協力を得ることや主治医にその位置に決定した理由を理解してもらうために、以下の条件を確認しておく必要がある。

患者が主治医からストーマ造設について説明されている。

患者がストーマの造設に同意している。

患者がストーマサイトマーキングを行うことに同意している。

ストーマサイトマーキングが今後のケアに向けて必要であることを、患者がある程度理解している。

ストーマ別の一般的な位置

予定される術式やストーマの造設予定部位、残存腸管(尿管)の長さや機能などの情報を確認する。

消化管ストーマの種類を図1に示す。消化管ストーマの種類と造設場所は、以下のようになる。
・上行結腸ストーマ:右下腹部
・横行結腸ストーマ:上腹部
・下行結腸・S状結腸ストーマ:左下腹部
・回腸ストーマ:右下腹部

図1 消化管ストーマの種類

図1 消化管ストーマの種類

尿路ストーマの種類を図2に示す。尿路ストーマの種類と造設場所は、以下のようになる。
・尿管皮膚瘻:右あるいは左下腹部(両側あるいは一側)
・回腸導管:右下腹部

図2 尿路ストーマの種類

図2 尿路ストーマの種類

選定基準

1.ストーマサイトマーキングの5原則(principles of ostomy care)

装具装着に適した条件が得られる位置

患者がセルフケアできる位置

合併症が起こりにくい位置

患者個々の社会的条件に適した位置

衣服等を考慮される位置

これらの原則を考慮し、合併症を起こしにくく、管理しやすい部位にストーマを造設するために下記の基準がある。

2.ストーマサイトマーキングの基準(クリーブランドクリニックの原則)

ストーマサイトマーキングの基準として広く用いられている基準に、クリーブランドクリニックの原則がある(表1)。

表 1 クリーブランドクリニックの原則

臍より低い位置

腹直筋を貫く位置

腹部脂肪層の頂点

皮膚のしわ、くぼみ、瘢痕、上前腸骨棘の近くを避けた位置

本人が見ることができ、セルフケアしやすい位置

表1の①「臍より低い位置」は、腹部の脂肪の付き方によってはセルフケアが困難となることもある。また、病変部位により腸管の長さを十分に確保できなければ造設は困難である。

肥満傾向にある患者や、体重変化が著明な患者において、表1の③「腹部脂肪層の頂点」に造設されると、本人によってストーマ位置の確認ができなくなる可能性もある。

ストーマサイトマーキングの原則には、クリーブランドクリニックの原則を修正したもの(表2)も提唱されているので、これらも参考のうえ、術式や患者の体型、生活様式などに応じた位置を、患者とともに選択する。

表 2 提唱されているストーマサイトマーキングの原則

腹直筋を貫通させる

あらゆる体位(仰臥位・座位・立位・屈曲位)をとって、しわ・瘢痕・骨突起・臍を避ける

座位で患者自身が見ることができる位置

ストーマ周囲平面の確保できる位置

一般的なストーマ造設位置および造設可能な範囲を図3に示す。

図3 一般的なストーマ造設位置および造設可能な範囲

図3 一般的なストーマ造設位置および造設可能な範囲

ストーマリハビリテーション講習会実行委員会編:ストーマリハビリテーション-実践と理論.金原出版,東京,2006:110を元に作成

体型別による留意点

1. 肥満者

肥満者は、腹部がせり出して下腹部が見えにくく、座位や立位では腹壁が下垂することが多い。そのため、安易に下腹部にストーマを造設すると、下腹部の下垂に伴って腸管が腹腔内に引っ張られ、陥凹型ストーマとなりやすい。そこで、臍より頭側の位置も考慮し、本人が見ることができる位置で安定した平面にマーキングを行う。(図4)

肥満者のストーマサイトマーキングの例

肥満者のストーマサイトマーキングの例

図4 肥満者のマーキング例

図4 肥満者のマーキング例

ストーマリハビリテーション講習会実行委員会編:ストーマリハビリテーション-実践と理論.金原出版,東京,2006:110を元に作成

2. 痩せ型

肋骨弓や腸骨の近くは皮膚のくぼみが著しい場合が多い。さまざまな姿勢をとり、骨突出部が装具装着の支障とならない位置を選ぶ。

痩せ型の患者のストーマサイトマーキングの例

痩せ型の患者のストーマサイトマーキングの例

3. 高齢者

皮膚のたるみ・可動性を考慮しさまざまな姿勢で安定した平面を選択する。円背の場合には座位・歩行時などの姿勢をとり、肋骨弓や腸骨の骨突出部が装具の支障とならない位置を確認する。

高齢者のマーキング
高齢者のマーキング

高齢者のたるみの多い皮膚のストーマサイトマーキングの例

緊急ストーマサイトマーキング

術前準備が十分でないままに行われる緊急手術は、創感染・離開などストーマの合併症を起こしやすい。合併症予防や術後ストーマ管理、患者QOLなどの視点から考え、位置決めは必要である。

座位や立位などの姿勢がとれる場合には、基本的な方法に準ずる(図5)。

腹部緊満や腹痛、嘔吐などの症状がある場合には仰臥位で行い、可能な限りでベッドをヘッドアップし、腹部のしわ・骨突出を確認する。

図5 緊急時の位置決め:座位が可能な場合

可能であれば座位で見える範囲や皺の位置を確認する

図5 緊急時の位置決め:座位が可能な場合

ストーマリハビリテーション講習会実行委員会編:ストーマリハビリテーション-実践と理論.金原出版,東京,2006:112を元に作成

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