ストーマケア・ナーシング メニュー

ストーマのセルフケア
洗腸の実際

1.患者への説明

洗腸は大量の温湯を結腸に注入して排便させることであるが、ただ結腸にたまっている便を洗い流すのではなく、結腸の圧を上げて大蠕動を促し排便させることである。安全に実施するためにも、その適応や開始時期、注入量など医師の判断を必要とする。

洗腸の目的は、ストーマ装具を使用しないで生活できるように、排便時間帯か排便間隔をコントロールすることであり、実施の有無にかかわらずストーマの管理方法の一つであることを説明し、適応のない患者にはその理由を説明する。

装具を使用しないで生活できるといっても、洗腸を開始して2~3か月は不意の排便に対応するため、ストーマ装具を装着する。できるだけ3か月は決まった時間に洗腸し、排便のコントロールが可能か見きわめる。3か月継続しても、洗腸と洗腸の間に排便がある場合は適応ではないと判断し、自然排便法に切り替える。

さらに、導入にあたっては洗腸の時間帯にトイレなどの個室を1時間近く確保できること、1,000~1,500mLの温湯が準備できること、家族などと同居している場合、部屋の占拠について理解と協力が得られることが、継続するにあたり大切な条件であることを説明する。

2.導入時期

洗腸の導入時期は、術後半年以降が望ましい。理由として、洗腸に1時間近くかかるため、その間座っていられる体力が回復していること、会陰部が創傷治癒に至っていることの確認が必要となる。

術後の腸管の機能や排便の性状が落ち着き、さらにストーマとの生活に慣れて精神的に余裕が生まれ、心身ともに安全に実施できる状態が望ましい。それまでは、自然排便法の習得や、洗腸の手順を覚えておく程度にする。

洗腸の指導はおおむねストーマ外来となる。指導開始時は特に緊張や温湯による腸管の刺激から、気分不快感、冷汗、腹痛、意識消失などの迷走神経反射が起きやすく、臥床できる場所の確保や、血圧計の準備をしておくとよい。

体調不良、不安が強い場合、空腹時や食後1~2時間は実施を控える。洗腸液の量(500~1000mL)は腸管の長さにより異なり医師の指示を受ける。温度(38~40℃)や速度(5~10分、1分間に100mL以下)に留意する。

3.必要物品

市販の洗腸セットを準備する。

①洗腸液袋、②洗腸液注入アダプター③洗腸液排出スリーブ、④フェースプレート、⑤潤滑剤(食用オイルでも可)、⑥クリップや洗濯バサミ、⑦温湯(必要時、温度計)、⑧プラスチックグローブや指サック、⑨エプロンやバスタオル、⑩消臭剤(必要に応じて)、⑪スタンドやS字フック、⑫ストーマ装具やガーゼ類

4.手順

38~40℃の温湯を、注入量よりも500mLくらい多めに用意し、流量調節器を閉じた洗腸液袋へ入れてスタンドやS字フックにかける。

流量調節器を閉じ、ドリップチャンバーを軽く押して温湯を少しためてから、洗腸液注入アダプターまでのチューブ内の空気を抜くために温湯を流す(図1)。

図1 ドリップチャンバー付の場合

図1 ドリップチャンバー付の場合

軽く押してチャンバー内に少し温湯を入れる

液面をストーマの高さよりも50cmくらい(洗浄液バッグが目の高さになる程度)の位置に調整する。

フェースプレートにスリーブを取り付け、腹部にベルトで固定する。

洋式トイレ、もしくは洋式トイレの前のイスに腰掛け、スリーブの先端を便器に垂らす。スリーブの裾は、トイレにつからない程度にカットする。

手袋をした利き手に潤滑剤をぬり、ストーマ孔にゆっくり挿入し腸の走行を確認する。

潤滑剤を付けた洗腸液注入アダプターを腸の走行に向かってゆっくり挿入する。アダプターが入らなかったり、洗腸液が注入されない場合は、アダプターの向きを変えてみたり、深呼吸や体位を変える、バッグの位置を少し高くするなどの工夫をしてみる。

注入量は500mLくらいから開始し、1分間に100mL(図2)、アダプターを固定しながら5分から10分かけて注入する(図3)。腹部症状や気分不快がなければ、次回より徐々に量を増やす。洗腸液が少ないと、十分に便が出きらないこともある。また、湯量が多すぎたり、湯が冷たかったり、流量が早いと腹痛や冷汗などの症状を起こすので注意する。

図2 注入量の目安

図2 注入量の目安

ドリップチャンバーの水滴が一筋の流れに
変化したときが1分間100mLの目安

図3 洗腸の様子

図3 洗腸の様子

注入後は流量調節器を閉鎖にし、5分程度アダプターをストーマに固定したままストーマからの液漏れを予防する。その間液漏れがある場合、漏れた分を追加注入する。

その後、アダプターをストーマから外し、スリーブ上部をクリップなどで閉鎖して待つ(図4)。30分間、断続的にほとんどの便や洗腸液が排泄される。

図4 スリーブ上部をクリップで閉鎖

図4 スリーブ上部をクリップで閉鎖

排便の最後に黄色の液(後便)が出たことを確認し、終了とする。

スリーブ上部のクリップを外し、洗腸液袋に残っている温湯でスリーブ内を洗い流す。

フェースプレートとスリーブを取り外す。

ストーマ装具の貼付やガーゼ、吸収パット付き絆創膏などで保護する。

5.観察

洗腸には時間がかかるため、部屋の温度に配慮する。

洗腸液注入時は通常腹部の張り感は起こるが、腹痛となる場合は流量や温度の確認を行う。問題がある場合は洗腸を無理に行わずに中止し、日を改める。

ストーマが小さく、アダプターが入らない場合は先端が細いアダプターを選択する。

洗腸液注入後、15分程度でほとんどの便と洗腸液は排泄される。その後の15分は、排泄量が少ないため、スリーブを折ってクリップで止めるなどし、読書やパソコンなど後便が出るまで部屋で自由にすごしてもよい。

洗腸液注入後に排便がうまくいかないときは、腹部を優しくマッサージすると排泄しやすくなる。

記録を行い、適切な注入量や排便と排便の間隔の評価をする(表3)。

状況によって、毎日の実施がよいのか、2日に1回でもよいのかを決定する。

表 3 実施記録の例

〇月1日 〇月2日 〇月3日 〇月4日
液量 500mL 700mL 700mL 800mL
かかった時間 5分 7分 8分 9分
便が出始めてから
後便が出るまでの時間
とりあえず30分で終わりにした 38分 30分
洗腸後、次の便が
出るまでの時間
20時間 出なかった 48時間
気づいたことなど 後便がよくわからない 軽い腹痛の後勢いよく便が出た
後便がわかった
洗腸後、便は出ずに洗腸液だけだった 注入後の張り感がつらい
700mLがちょうどよい

6.中止が必要な場合

洗腸を中止し開放型のストーマ装具を装着し自然排便法に切り替える必要があるのは、以下のような場合である。

下痢により、洗腸後24時間以内に排便がある。

ストーマ狭窄、傍ストーマヘルニア、ストーマ脱、ストーマ静脈瘤の発症。

高齢による視力低下や認知力や体力の低下。

がんの再発や持病の悪化による体調の悪化。

震災などで、洗腸が継続できない環境。

下痢以外の条件では、洗腸中止後に便秘になることが多く、自然排便法に切り替えた場合は下剤や浣腸で排便コントロールする。

文献

1. ストーマリハビリテーション講習会実行委員会編:ストーマリハビリテーション-実践と理論.金原出版,東京;2006:115-119,141-142.

2. 大村裕子編:カラー写真で見てわかるストーマケア.メディカ出版,大阪,2006:30-35.