ストーマケア・ナーシング メニュー

ストーマ保有者が利用できる社会資源
ストーマ外来

2021年7月更新(2015年5月公開)

ストーマ外来の役割

わが国では、現在、社会保障制度改革の一環として、病床の機能分化や連携、在宅医療の推進等がはかられており、そのため、発症から入院、回復期(リハビリ)、退院までの流れをスムーズにし、早期の在宅・社会復帰が可能となるようなシステム構築が求められている。

ストーマ造設を必要とする患者が順調に身体・心理・社会的な適応ができ、またQOLを高めていくためには、術前・術後・社会復帰後のそれぞれの時期に応じた、専門的で個別的なケアが必要となる。

在院日数が短縮されている医療の環境においては、ストーマ造設術後の患者(オストメイト=ストーマ保有者)はセルフケアの獲得が不十分なまま退院しなくてはならない場合もあり、さらに家族も含めた長期的なかかわりや、高齢化における地域連携の必要性など多くの課題を解決していくためにも、ストーマ外来の役割は非常に重要であると考えられる。

ストーマ外来とは

ストーマ外来は、ストーマ造設を必要とする患者およびオストメイトを対象に、皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCN)もしくは、ストーマケアについての知識・技術を有する看護師が主導して、医師や他種職と連携して、専門的な知識に基づく技術や知識を提供し、生活に伴う症状の改善や自己管理の支援等を行う外来である。

対象は、主にストーマ造設を受ける患者およびオストメイトおよび家族・ケア提供者である。また、瘻孔やドレーン留置によりスキンケアが必要な患者も対象となる。

1.ストーマ外来での支援内容

ストーマ外来では、主として以下の内容の支援を実施する。

- 術前ケア(ストーマの説明、マーキング)
- 退院後の定期検診
- セルフケア指導(自然排便法、灌注排便法、装具交換方法、スキンケア方法、ドレーン管理など)
- 装具、ストーマケア用品の情報提供と選択
- ストーマの合併症予防、ストーマ周囲のスキントラブルへの対処
- 日常生活指導
- 排尿、性機能障害の相談および関連科への紹介
- 社会保障の手続き・相談
‐ 患者会の紹介
‐ 通院困難なオストメイトに対しては、訪問看護の紹介と連携、開業医との連携

2.ストーマ外来のフォローアップ間隔

ストーマ外来での継続的なフォローアップを実施するためには、入院前もしくは入院中からのかかわりがあることが好ましい。そのためには、術前の外来受診時や入院中に、医師または看護師から依頼してもらえるようなコンサルテーションシステムを確立することが必要である。

ストーマサイトマーキングや退院指導のかかわり、さらに退院前訪問によるストーマ外来でのフォローアップの必要性や受診方法の説明などによって信頼関係を築き、オストメイトの信頼と安心を得ることができる。

退院後のストーマ外来フォローアップの間隔は、初回受診時(2週間後を目安)の後1か月ごとに受診してもらい、セルフケア獲得の程度や皮膚障害の有無などにより患者と相談しながら、2か月ごと3か月ごとと間隔を延ばす。

患者の身体状態が安定し、セルフケアや日常生活にも慣れてきたら、6か月ごと1年ごとと間隔をあけていくことも可能である。

ストーマ外来の費用

ストーマ外来の費用は、通常、診療報酬(在宅療養指導料とストーマ処置料)として請求することが可能である。

在宅療養指導料:1回/月 170点(初回の指導を行った月は1か月に2回まで、その他の月は1か月に1回に限り請求可能)

ストーマ処置料:1回につきストーマ1個70点、ダブルストーマ120点である。

診療報酬にあたっての施設要件は、以下のとおりである。
・医師の指示に基づく指導
・ケア時間30分確保
・外来で実施した指導内容の診療記録

ストーマ外来実施のために必要な物品と設備

ストーマ外来では、腹部を診察し排泄物を扱い、個別の指導を行うためプライバシーが保てる個室を確保することが望ましい。

外来での必要な物品や設備には、机やいすの他、診察台、装具を管理する棚、処置カート、排泄物を処理できるトイレや汚物漕などが整っており換気ができる場所が理想的である。

ストーマ外来での記録

ストーマ外来は完全予約制で実施されることが多いため、できるだけ30分の間にストーマ周囲の観察や指導・相談、および記録を終了できるようにしなくてはならない。

ストーマ外来の記録として、あらかじめストーマの観察項目や指導内容などの項目を設定してあるフローシートを活用すると、ストーマの異常やスキントラブルなどの経過が一目でわかり、情報を直ちに得られるとともに、必要な内容を効率よく簡潔に書くことが可能である。

観察項目には、ABCD-Stoma®などのアセスメントツールの項目を活用し、一定の基準にのっとった記載を心がけることで、記録の信頼性も高まる。

ストーマ外来一覧

一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会のホームページに最新のリストが収載されているので参照いただきたい。
http://www.jwocm.org/web_stomacare/clinic.php

一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会では、ホームページ上で「WEB版ストーマ外来―ストーマケア」を開設している。参考にするとよいだろう。
http://www.jwocm.org/web_stomacare/index.html