ストーマケア・ナーシング メニュー

ストーマの術前・術後ケア
術前オリエンテーション

ストーマ術前ケアとは

ストーマ術前ケアとは、「ストーマ造設手術を受ける前にストーマ概念の説明、位置決めなどを実施して患者がストーマを正しく認識できるようにすること」である1

術前ケアの目標

術前ケアの目標は、ストーマ保有者が日常生活をイメージできるようになることと、社会復帰への基礎づくりである。

看護師は、ストーマ造設に伴う心理的援助や身体的準備等に介入する必要がある。患者がストーマ造設の説明を受けた時点から、看護師の介入が始まる。

入院期間短縮に伴って、手術直前の入院となるため、外来でストーマ造設についての説明やオリエンテーションがなされている場合が多くなっている。

医師からどのような説明を受け、どのように理解・反応を示したかを記録に残し、外来と病棟が連携して、入院後に継続していくことが必要である。

術前オリエンテーションでは、以下の項目について確認する必要がある。

1.医師からの説明内容の理解

術式の把握(永久ストーマ・一時的・開腹術・腹腔鏡式等)

術前・術後の追加治療(化学療法・放射線療法の有無)

2.ストーマ造設に対するイメージ

術前の身体的準備

採血・X線等の一般諸検査(外来で終えていることも多い)

腸管の清浄化のため、経口摂取の制限・下剤・浣腸・腸管洗浄剤(ニフレック®やマグコロール®)投与などを行う(腸管閉塞症状のあるときは、腸管内圧上昇による腸管穿孔の危険があるため禁忌である)

中心静脈栄養(必要時)

臍処置・除毛

ストーマの位置決め

セルフケア能力の確認(視力・聴力・身体可動性・手先の器用さ・経済力・家族や生活背景など)

ストーマ造設を告知された患者の心理

ストーマ造設患者の多くは、「がん」あるいは「悪性の腫瘍」などの告知を受け、生命の危機に直面している場合が多い。生命の危機と引き換えにして「ストーマ造設」を受け入れ、「医師に任せる」などのことを選択することもある。

同時に、ストーマ造設に関する身体の変化や生活様式の変化に関する不安に見舞われる。近親者や知り合いにストーマ造設者がいると、彼らから管理困難や異臭などの経験を聞き、自分なりの想像から嫌悪感を抱いて手術を拒む患者もいる。

看護師は無理強いはできないが、患者の心理状態を理解して、術前に必要な準備や説明をしていく必要がある。

術前オリエンテーションの内容

ストーマ造設の必要性

ストーマとは何か(解剖生理を含む)患者様説明

術後のストーマ管理(特別なケアの必要性)患者様説明

ストーマ術後の一般的な経過(創部管理・経口摂取開始・ドレーン抜去・抜糸・退院等)

日常生活に関すること(食事・入浴・仕事・趣味など)患者様説明

ストーマサイトマーキングの必要性

必要に応じてオストミービジターや患者会の紹介

排尿障害患者様説明性機能障害患者様説明

社会福祉制度について(手続きの方法と準備)患者様説明

ストーマ外来等相談窓口の紹介患者様説明

術前オリエンテーションの実際

術前オリエンテーションでは、解剖生理を含めてストーマとは何かを説明し、ストーマに対する認識を確認する。このとき、医師からの説明でどの程度理解できているかを確認し、知りたいことや不安な点などを尋ねる。患者がどの程度理解しているか、そしてどのような心理状態にあるかを確認し、補足説明が必要かどうかを判断する。それによって、内容と情報量を整理して説明する。

ストーマについての説明は、患者だけでなくキーパーソンも含めて行うとよい。

正しく理解してもらうためには、口頭だけの説明でなく、模型やパンフレットを用いて説明する、あるいは動画や写真などの視聴覚情報も有効である。または「患者用クリニカルパス」を活用する。

術後使用する装具や社会復帰に使用する予定の装具を術前に準備して、患者に見てもらったり試用したりすることもあるが、あくまでも患者の受け入れ状態や理解度から判断する。

インターネットや装具メーカーのホームページなどからも情報を得ることができるが、患者のペースに合わせて正しい情報を提供し、段階的にオリエンテーションを進めていくことが大切である。

術前オリエンテーションを実施する時期と環境

術前オリエンテーションを行う際には、以下の状況を重視する。

ストーマについての説明を受けられる心理状態であること

プライバシーが保てる場所である

キーパーソンや支援者の同席

不安や感情が出せる雰囲気をつくる

パッチテストの実施

パッチテストは、アレルギー性接触皮膚炎の原因物質を特定する目的で行われる。その有用性については賛否両論があるが、皮膚障害が起こったときの一指標となることを知っておく必要がある。

現在は、アレルギー疾患がある人や、皮膚保護剤による皮膚障害が生じた場合などに貼付試験を行うことがある。

文献

1.日本ストーマリハビリテーション学会編:ストーマリハビリテーション学用語集第2版.金原出版,東京,2003:69

2.ストーマリハビリテーション講習会実行委員会編:ストーマリハビリテーション-実践と理論.金原出版,東京,2006:161-166