2015年5月公開
ストーマの造設位置によって便性状が異なり、1日1回~数回排泄されるのが正常である。肛門と違って括約筋を有しないため排泄されやすいようなイメージがあるが、ストーマであっても腸管の動きなどによって便秘や下痢になる。開腹術後は特に癒着性イレウスになりやすく、前駆症状と言える便秘に注意する必要がある。
ストーマからのガスの排出は、排便同様に我慢することができないため、ガス排出の音で困るというストーマ保有者からの悩みを聞くことがある。ストーマ袋は、防音や防臭機能があるが、けっして完全に遮断できるものではないことを念頭に置き、例えばガスが多い場合には、食事の工夫などを提案してみる。
水分摂取量が少ない、食事内容の偏りがある、精神的ストレス、運動不足、など。
水分を十分にとる。
乳製品や食物繊維が含まれた食事をバランスよく摂取し、腸内環境を整える(図1)。
心身ともにリラックスできる環境づくりを心がける。
適度な運動を推奨する。
起床時の飲食で胃結腸反射が起こり、腸蠕動が強まる。朝食を抜いたりせず、規則正しい生活習慣を整える。
上記で改善しない場合は、医師に相談したうえで緩下薬の投与を考慮する。
ストーマの狭窄や腸管の癒着など、器質的な異常により便秘が生じている場合もある。イレウス症状(排ガスや排便の停止)があれば医師の診察を要請する。
牛乳 | 生ジュース | 果物 |
野菜 | 乳製品 | 豆類 |
きのこ類 | 海藻類 | こんにゃく |
食事内容の偏りや暴飲暴食、乳糖不耐症、人工甘味料の多量摂取、ストレス、冷え、食物や薬剤に対するアレルギー、経腸栄養剤の急速な投与、薬物治療(消化性潰瘍治療薬、抗生物質、抗がん剤など)、など。
アルコール | カフェイン | 炭酸飲料 |
脂肪の多い食品 | 豆類やきのこ類 | 香辛料 |
イカ、タコ |
じゃがいも、りんご、バナナ、もも(水溶性食物繊維) | ごはん | もち |
うどん | パン | くず湯 |
マシュマロ |
ガスは毎日0.4~1.2L排出されている。
ガスの主な原因は、会話や食事中に飲み込む空気と、腸内細菌の活動により発生したものである。
食事はゆっくり噛む。噛んでいる間は、なるべく話をしない。
義歯を使用中の患者では、義歯が合わない状態の噛み合わせで、食事中に空気を多く飲み込む場合がある。義歯の不具合があれば歯科で調整してもらう。
ガスを発生しやすい食物を控える(図4)。
ストローの使用やガムの摂取を控える。
腸内環境を整える発酵乳製品・発酵食品を摂取する(図5)。
ビール | 炭酸飲料 | イモ類 |
甲殻類 | ブロッコリー | カリフラワー |
豆類 | ごぼう | キャベツ |
ねぎ | 貝類 |
ヨーグルト | 乳性飲料 | 納豆 |
便臭は、タンパク質が腸内細菌や腸内酵素によって、有害で悪臭の強い分解物に変化することにより発生する。
においの強い食物を避け、ガス同様、腸内環境を整える食物の摂取が効果的である(図6、7)。
ねぎ | にら | 豆類 |
たまねぎ | アスパラガス | チーズ |
卵 | 甲殻類 | にんにく |
アスパラガス | にんにく | ねぎ |
たまねぎ |
乳酸飲料 | パセリ | ヨーグルト |
レモン |
オレンジ | グレープフルーツ | アセロラジュース |
クランベリージュース | 緑茶 |
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