2015年5月公開
誰でも好みの衣服を着たいものである一方、社会生活上、TPOに合わせた服装が求められる。日頃は洋服で生活するのが一般的であるが、和装で過ごすことが日常の人もいる。
ストーマ造設後にストーマ自体を圧迫したり、ストーマ袋を塞いだりすることがなければ、和装であっても大きく制限されることはない。
ストーマ装具は、できるだけ衣服の表から見て目立たないようにコンパクトに設計されている。そのため、それまで着ていた衣服がストーマ造設によって着られなくなり買い換えなければならない、ということはあまりない。
ストーマ造設位置によっては、ズボンなどのベルトの締め付けによってストーマ粘膜を損傷する恐れがあったり、排泄物が排泄孔からストーマ袋の底にうまく落ちなかったりすることがある。
下着(パンツ)のウエストラインが合わなくなって「パンツ位置が落ち着かない」と感じる場合もあるだろう。
ストーマ袋は皮膚障害予防と肌触りを快適にする目的で、不織布等が裏打ちされている製品が多い。それでも排泄物の重みや温度を感じるため「時間が経つと袋が冷たい」と不快に思う人もいれば「そろそろ捨てようと思える」とプラスに考える人もいる。
術直後は感じなかったことが、ストーマケアを含む日常生活に慣れてきた頃に感じることも多い。患者自身が衣服に関する工夫ができるように、相談に応じることが必要である。
対処法
ベルト着用位置は、ストーマサイトマーキングの際に確認し考慮するが、造設位置がベルト着用位置と重なる場合もあるため、その際はサスペンダーが活用できる。
スーツではベルト着用が正装となるため、サスペンダーでズボンを固定し、ベルト穴の位置はストーマを圧迫しない程度とする。
ストーマ袋の不快な感触がある場合は、ストーマ保有者用の下着(図1)やストーマ袋カバー(図2)を使用する。
和装(着物)の場合は、腰に紐をいくつも巻くことになるが、ストーマの直上で紐を巻いたり縛ったりしないよう、紐の位置を微調整するとよい。帯は基本的な巻き方をすれば、それ自体がきつく巻かれないため問題にならない。ただし、排泄物を破棄する際に洋服よりも手間がかかること、排泄処理後の着物の直しを自分でできる必要がある。
図1 ストーマ保有者用の下着の一例
図2 さまざまな柄や素材のストーマカバーがある
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