2015年5月公開
ストーマが造設された後も、基礎疾患による食事制限を必要とする場合以外は、基本的に食事制限は不要である。バランスの取れた食事を心がけるようにする。
ストーマ造設後は、食べ過ぎによる肥満には気をつけなければならない。肥満によって起こるストーマの陥凹や腹壁の変化は、ストーマ管理上支障をきたすこともあるため、一定体重の維持を指導する。
回腸ストーマの注意点
回腸ストーマでは、食品によってフードブロッケージが起こりやすいため注意を要する。フードブロッケージとは、食物繊維がストーマ開口部にひっかかって詰まり、消化液や便の流れを阻害してしまうことである。そこで、よく噛んで食べる、消化しにくい食物(図1)はあらかじめ刻む、裏ごしするなどの工夫をする。特に高齢者の場合、咀嚼の問題がないかを評価する。
回腸ストーマからは、水様性で多量の酵素を含んだ便が1000~2000mL/日排泄される。このため、排泄量が過多になり、脱水や低ナトリウム血症などの電解質異常を起こしやすい(Na、K、Cl、Pは回腸および大腸で吸収される)。
患者は、潜在的に排泄量を減らすことを意識しがちであり、排泄過多となった場合に水分の摂取を控えてしまい、脱水を悪化させることがよく見受けられるため注意する。
排泄過多の際に、水・茶・コーヒー・アルコールなどの低浸透圧性飲料を大量に摂取すると、ナトリウムをより喪失し脱水が悪化するため、これらの摂取をできるだけ控え、スポーツ飲料・味噌汁・スープ・ジュースなどの、塩分や糖質を含む水分をこまめに摂取するよう指導する。
排泄量が多い場合は、止痢剤の投与について主治医に相談する。
きのこ類 | 海藻類 | 根菜類 |
こんにゃく | 貝類 | ブロッコリー |
とうもろこし | チーズ | 玄米 |
繊維の多い果物 | キャベツ |
尿路ストーマの注意点
尿路感染予防や正常な腎機能の維持のためには、水分摂取量が1500~2000mL/日になるよう、十分に水分を摂取する必要がある。
ビタミンCやポリフェノールを含む飲み物や果物は尿を酸性にし、尿路感染症や結石を予防する。
ただし、クランベリージュース(ジュース以外にタブレットタイプもある)は、最新の知見としては「クランベリージュースの効果は微小である。再発性尿路感染症を患う女性患者に限られ、十分な活性成分が含まれていることを前提とする」と言われている。カロリー制限がある場合やワーファリン内服中の患者は飲用に関して、医師に相談が必要である。
クランベリージュース |
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