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ストーマのセルフケア
[ストーマ用品の基礎知識]
C.皮膚保護剤

皮膚保護剤とは、「排泄物および分泌物を吸収して周辺皮膚を保護するストーマ用品」(JIS)である。

排泄物、粘着剤、物理的刺激などによる皮膚の生理機能維持が困難な状況に対して、予防と改善を目指す役割がある。

皮膚保護剤の役割

皮膚保護材には以下のような役割がある。
・吸水性・保水性
・pH弱酸性
・緩衝作用
・細菌繁殖抑止作用(静菌作用)
・粘着性
・保温性    など

皮膚保護剤の(組成的)構造

皮膚保護剤は構造的に、ゲル系、ポリマーブレンド系に分かれる(図1)。

図1 板状皮膚保護剤の(組成的)構造

図1 板状皮膚保護剤の(組成的)構造

穴澤貞夫,大村裕子編著:ストーマ装具選択ガイドブック.金原出版,東京;2012:71を元に作成

1.親水性ポリマー

水に対して溶解、吸収、膨潤などの相互作用をもつ。

1)カラヤガム

sterculia urens樹の樹液から取れる複合多糖類。

pH4.5~4.7。

高い吸水性、保水性をもち、緩衝作用、静菌作用に優れている。

2)ペクチン

柑橘類、リンゴなどの皮などから抽出製造される多糖類系誘導体。

柑橘系pH約4.7、リンゴ由来はpH3.7。

3)カルボキシメチルセルロース(CMC)

亜硫酸パルプから化学反応によって製造される。

4)ゼラチン

コラーゲンを含む動物質から温水で抽出して製造される多種蛋白質の混合物。

2.疎水性ポリマー

水に対して溶解、吸収、膨潤などの相互作用をもたない性質をもつ高分子物質。

多くの尿路用、イレオストミー用の装具には、ポリイソブチレン(PIB)単独ないしはスチレン・イソプレン・スチレン(SIS)混合で使用されている。

1)ポリイソブチレン(PIB)

石油の中に含まれるイソブチレンを重合して製造される。

PIBの使用により、粘着性、柔軟性に優れた皮膚保護剤を造ることができる。

2)スチレン・イソプレン・スチレン(SIS)

SISの使用により、耐水性、耐久性に優れた皮膚保護剤を造ることができる。

皮膚保護剤の分類

親水性ポリマー、疎水性ポリマーのそれぞれの頭文字を組み合わせて命名を提唱した分類法がある(表1)。

その他、スキンケア成分(セラミド)の含有された皮膚保護剤もあり、皮膚のバリア機能の低下が予測される方に対して正常性を保つことに役立つことが期待されている。

表 1 ポリマーブレンド系皮膚保護剤の新分類表

疎水性
ポリマー
親水性
ポリマー
B:PIB
(ポリイソブチレン)
S:SIS
(スチレン・イソプレン・スチレン)
B:PIB
S:SIS
B:PIB
E:EVA
(エチレン・酢酸ビニル・コポリマー)
B:PIB
M:マイクロファイバー
B:PIB
H:水素添加SBR
K:カラヤガム
P:ペクチン
KPB系
プロケアー
ユーケアー
KPBS系
プロケアーウロ
ユーケアーウロ
イレファイン
C:CMC

P:ペクチン
CPB系
バリケア
トレビアン
アルマリスツインプラス
フレキシマ
プロキシマ
ドレーナーS
ニュースイスロールER(A)
ニュースイスロール
ニュースイスロールEX
スイスロール
CPS系
ニュースイスロールクリア(A)
CPBS系
フレックステンド
デュラヘーシブ
ウルトラマックス
ニュースイスロールER(B)
CPBE系
フレックスウエアー
CPBM系
フレックステンドM
CPBHS系
セルケア
C:CMC

P:ペクチン
F:コットンファイバー
CPFB系
ソフトフレックス
GX親水性皮膚保護剤
C:CMC CB系
ニュースイスロールクリア(C)
CS系
キュラガード
マイルドキュラガード
ニュースイスロールクリア(B)

※斜め文字は渦巻型、(A)吸水層、(B)低吸水層、(C)外周吸水層

穴澤貞夫,大村裕子編著:ストーマ装具選択ガイドブック.金原出版,東京;2012:73を元に作成

形状別による皮膚保護剤

1.板状皮膚保護剤

硬度、吸収性、粘着性、温度安定性など、さまざまな特徴を持っている。深いしわやくぼみを補正する目的で選択されることが多い。

はさみなどで必要な大きさに切る。

2.粉状皮膚保護剤

水分を吸収しゲル化する。高い吸収力をもち、皮膚の保護、面板の溶解・膨潤を抑制する。

ストーマ周囲皮膚に生じたびらんの滲出液吸収や、ストーマ粘膜と面板の隙間に露出した皮膚を保護する目的で使用する。

使用する際には、余分な粉を残さないようにする。

3.練状皮膚保護剤

ペースト状で多くはチューブの容器に入っており、チューブから練りだす作業で使用できる。

浅いしわやくぼみの補正に適している。

アルコールが含有されている商品もある。アルコール過敏症患者には不適応である。また、びらんなどの皮膚障害のある部位に使用すると疼痛を誘発する。

4.用手成形皮膚保護剤

手で容易に変形が可能な皮膚保護剤で、練って成形するものと練らずに成形するものがある。

アルコールが含有されていない。

しわやくぼみなどの補正に使用する。補正したい範囲や厚みを調整しやすい。

引用・参考文献

1.穴澤貞夫,大村裕子編著:ストーマ装具選択ガイドブック.金原出版,東京,2012:70-80.

2.ストーマリハビリテーション講習会実行委員会編:ストーマリハビリテーション-実践と理論.金原出版,東京,2006.

3.田澤賢次監修:皮膚保護剤とストーマスキンケア.金原出版,東京,1998.