ストーマケア・ナーシング メニュー

日常生活指導のポイント
災害時対策

2015年5月公開

災害はいつどこで起こるか予測できない。そのため、普段から災害時に備え、ストーマ用品の準備を心がけておく必要がある。

起こりうる問題

交通機関に大きな影響が出た場合、ストーマ用品の供給が困難となる場合がある。

災害時の環境や食生活の変化により、排泄物の性状が普段と異なることも考えられる。

避難所等では装具交換できる機会・環境が限られる可能性がある。

災害時の備え

非常用持ち出しセット(図1)を1か月分程度(災害時に日常使用している装具が入手できるまでの安全確保に要する日数)用意しておく。中身は半年~1年毎に交換する。

▶ ストーマ装具
・はさみが使えない可能性があるため、あらかじめストーマの大きさに合わせてカットしておく。
▶ 水に流せるティッシュペーパー
▶ ウェットティッシュや洗い流し不要の洗浄剤(水が使えない可能性があるため)
▶ 破棄するための不透明なビニール袋
▶ 閉鎖型装具を使用している場合は、下部開放型の装具も数枚用意する。
▶ 尿路系ストーマの方は、ドレナージバックも用意しておく。
▶ 尿路系ストーマの方は、水分摂取量が少なくなりがちであるため、水やお茶の備えもしておく。
▶ 洗腸は、場所や水の確保が困難なことから、災害時は適さない状況になるといわれている。このため、普段は洗腸により排泄を行っている場合でも、自然排便法を理解し、装具の準備をしておく。
▶ 装具は自宅だけでなく、親戚や友人宅にも分散して置いておくようにする。

図1 非常用持ち出しセット

携帯用メモを用意しておく(図2)。

・ 使用している装具の商品名や種類、いつも装具を購入している販売店名や電話番号、かかりつけの主治医、ストーマの種類などを記録しておく。

図2 携帯用メモの例

装具購入先・市町村役所・かかりつけの病院の電話番号は、携帯電話にも登録しておく。

日頃から、「避難時セット」とは別に、装具1枚とウェットティッシュなどを「簡易セット」として携帯する習慣をつけておくと、予定外の装具交換にも対応できる。

引用・参考文献
1. ストーマリハビリテーション講習会実行委員会編:ストーマリハビリテーション-実践と理論.金原出版,東京,2006.
2. 伊藤美智子編:ストーマケア.学研メディカル秀潤社,東京,2003.
3. 溝上祐子,津畑亜紀子監修:基礎からわかる! 尿路ストーマケア.メディカ出版,大阪,2010.
4. 田中秀子,溝上祐子監修:失禁ケアガイダンス.日本看護協会出版会,東京,2007.
5. 林章敏,中村めぐみ,高橋美賀子編:がん性疼痛ケア完全ガイド.照林社,東京,2010.
6. 中西弘和,長澤一樹:直腸がん術後骨転移のがん性疼痛に対しフェンタニル持続注入とジクロフェナク坐剤人工肛門内長期投与が有効であった1例.医療薬学 2006;32(6):576-580.
7. 松原康美編著:ナーシング・プロフェッション・シリーズ ストーマケアの実践.医歯薬出版,東京,2007:30-32.