Part1 褥瘡(じょくそう)はどうしてできる? どう治す?
褥瘡(じょくそう)は、どこに、どのくらいできやすい?2016年6月公開
褥瘡アセスメントに必須!改定された「DESIGN-R®2020」
ここだけは知っておきたいポイント
2013年に日本褥瘡学会が調査した結果をみると、いわゆる一般病院での褥瘡患者は1.99%です。療養型病床のある一般病院では2.20%で、この2%前後というのがわが国の褥瘡有病率になります(表2)。おおまかにいうと、病院に入院している患者の50人に1人に褥瘡があるということです。
2010年の調査では一般病院2.94%、療養型病床を有する一般病院3.52%でしたから、かなり減ってきていることがわかります。これは、各病院での褥瘡対策の充実に負うところが大きいといえるでしょう。
表2 褥瘡の有病率(日本褥瘡学会、2013)
施設区分 | 有病率(%) |
---|---|
一般病院 | 1.99 |
一般病院(療養型病床を含む) | 2.20 |
大学病院 | 1.39 |
精神病院 | 0.46 |
小児専門病院 | 1.47 |
介護老人福祉施設 | 0.89 |
介護老人保健施設 | 1.27 |
訪問看護ステーション | 2.61 |
そもそも褥瘡は体のどこの部位にできやすいのでしょうか。褥瘡の好発部位を示したのが図7です。患者の体位で違ってきますが、発生のメカニズムからわかるように圧力がかかり骨によって筋肉が圧迫される部位に褥瘡は発生します。
前述したように日本人は骨突出部位に褥瘡ができることが多く、「病的骨突出」の状態が最も問題になります。老衰や栄養不良の要素に加え、長期間の臥床で筋肉が減少すると解剖学的に骨突出部位の軟部組織が減少します。それが病的骨突出です。
これを調査結果で見てみましょう。日本褥瘡学会が行った2013年の実態調査では、一般病院における褥瘡発生部位の順番は、①仙骨部(47.2%)、②その他(16.4%)、③尾骨部(16.0%)、④踵骨部(12.4%)、⑤大転子部(10.7%)、⑥坐骨結節部(5.9%)、⑦腸骨稜部(5.3%)となっています。療養型病床では、①仙骨部、②その他、③大転子部、④踵骨部、⑤尾骨部となっています。尾骨部よりも大転子部、踵骨部が多いのは、療養型病床では座位姿勢を取られる方が少なくなるからと思われます。このように、褥瘡は、仙骨部、尾骨部、大転子部、踵骨部にできやすいということがわかります。
図7 褥瘡の好発部位