Part4 褥瘡(じょくそう)を防ぐために一番大事な体圧管理
「圧再分配」ってどんなもの?2016年6月公開
褥瘡アセスメントに必須!改定された「DESIGN-R®2020」
ここだけは知っておきたいポイント
人の体には骨突出や生理的弯曲などの凹凸があり、体とマットレスとの接触面には限りがあります。「圧再分配」というのは、接触面に加わる圧力を以下の3つの機能によって分配し、1点に加わる圧を低くすることです。
①沈める(Immersion)
圧を減少させるために、骨突出部位をマットレスに沈める機能です。これによって特定の骨突出部位に集中していた圧を、周辺組織や他の骨突出部位に分配することができます。沈み込みが大きいほど接触面積が大きくなり平均圧は低くなります。この機能は、マットレスの素材の「圧縮特性」と「寸法(厚み)」によって変わります。
②包む(Envelopment)
骨突出部など体の凹凸に対するマットレスの変形能のことです。変形することで体とマットレスとの接触面積を大きくできます。マットレスの素材が水や空気などの流動体であれば変形能はすぐれていることになります。
③経時的な接触面の変化
接触面が時間に従って変化する概念です。特定部位への圧の持続時間を短縮させることによって褥瘡発生リスクを少なくすることができます。
具体的には、圧切替型マットレスはセルの膨張と収縮を繰り返すことによって、マットレスへの接触部分を周期的に変化させています。
これらの圧再分配の機能を具体的にイメージできるように示したのが図3です。
図3 圧再分配のイメージ図
市岡滋,須釜淳子:治りにくい創傷の治療とケア.照林社,東京,2011:79.より引用