Part11 在宅の褥瘡(じょくそう)患者にどうアプローチする?在宅の褥瘡患者は減ってきた?
2023年2月更新(2016年6月公開)
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在宅褥瘡への外用薬の使い方
日本褥瘡学会が行った2016年の調査では在宅(訪問看護ステーション)での褥瘡有病率は1.93%と、2013年調査の2.61%からかなり減ってきています。
年齢別には、75歳以上の後期高齢者が65.3%と多く、特に85~94歳が42%を占めています。
褥瘡発生部位では、仙骨部(30.0%)、坐骨結節部(10.2%)、踵部(9.2%)、大転子部(8.1%)、尾骨部(7.6%)と続きます。
在宅褥瘡の減少は、日本褥瘡学会が行ってきた在宅褥瘡セミナー、『在宅褥瘡テキストブック』の発行、eラーニングによる教育などが着実に成果を上げているものと思われます。さらに、診療報酬上でも専門性の高い看護師による訪問看護(同行訪問含む)や在宅患者訪問褥瘡管理指導料の新設などによる経済的誘導の効果も大きいと思われます。
「在宅患者訪問褥瘡管理指導料」は、医師、看護師、管理栄養士からなる在宅褥瘡対策チームが、「重点的な褥瘡管理が必要な在宅療養者」(表1)に対して、褥瘡の改善などを目的に協働して指導管理を行う場合に算定できます。
在宅褥瘡対策チームの実施体制としては、1つの病院内に医師・看護師・管理栄養士がいる基本的な体制の他、病院の医師・管理栄養士が訪問看護ステーションの看護師等と連携した場合、そして病院の医師・看護師等が栄養ケア・ステーションまたは他の保険医療機関の管理栄養士と連携した場合などが考えられます。栄養ケア・ステーションとは日本栄養士会または都道府県栄養士会が管理・運営する管理栄養士・栄養士のネットワークの1つです。当初、在宅患者訪問褥瘡管理指導料の申請においては管理栄養士が常勤でなければならない点がネックとなっていましたが、平成30年度の診療報酬改定で「非常勤でもよい」ことになり、さらに令和2年度の診療報酬改定で、栄養ケア・ステーションや当該医療機関以外の管理栄養士でも算定できるように要件が緩和されました。
表1 重点的な褥瘡管理が必要な在宅療養者
- 重度の末梢循環不全のもの
- 麻薬等の鎮痛・鎮静剤の持続的な使用が必要であるもの
- 強度の下痢が続く状態であるもの
- 極度の皮膚脆弱であるもの
- 皮膚に密着させる医療関連機器の長期かつ持続的な使用が必要であるもの*
* 医療関連機器圧迫創傷(MDRPU)のこと。平成30年度診療報酬改定で新たに追加