Part2 褥瘡(じょくそう)の基本とアセスメント方法褥瘡の重症度分類を理解しよう
2023年2月更新(2016年6月公開)
褥瘡の重症度は一般的に「深さ(深達度)」によって分類されます。多くの分類法があり、Shea分類、Daniel分類、Campbell分類、IAET分類などが有名です。Shea分類は褥瘡をⅠ~Ⅳ度の4段階に区分しています(表1)。Daniel分類は、Shea分類のⅣ度に加えⅤ度として粘膜嚢に沿って広がった大きな潰瘍を加えています。Campbell分類は、Shea分類をさらに細分化して1~7度に区分しています。1度は圧迫を解除すれば消退する発赤、2度はそれ以上の表皮の病変、3度は真皮までの欠損、4度は皮下組織までの欠損、5度は筋肉まで、6度は骨まで、7度は骨髄炎など骨自体にまで病変が及んでいるものです。IAET 分類は4つのステージに区分され、Shea分類とほぼ同じです。
臨床でよく使われているのが、NPUAP/EPUAP分類です。NPUAP(米国褥瘡諮問委員会:National Pressure Ulcer Advisory Panel)*とEPUAP(欧州褥瘡諮問委員会:European Pressure Ulcer Advisory Panel)が共同で作成したステージ分類です。
NPUAP/EPUAP分類は、褥瘡の深達度に応じてカテゴリ/ステージⅠからカテゴリ/ステージⅣまでに分けています。それに「米国向けの追加のカテゴリ」として、「分類不能」と「深部組織損傷(DTI:deep tissue injury)疑い」の2つが加えられています(図1)。
カテゴリ/ステージⅠは「消退しない発赤を伴う損傷のない皮膚」、カテゴリ/ステージⅡは「浅い開放潰瘍として現れる真皮の部分欠損」で水疱も含まれます。カテゴリ/ステージⅢは「皮下脂肪に至るものの骨、腱、筋肉は露出していない全層皮膚欠損」、カテゴリ/ステージⅣは「骨、腱、筋肉の露出を伴う全層組織欠損」を指します。また、全体にスラフやエスカーが付着している場合は深さの判定ができないため、分類不能となります。さらに、表皮剥離はなく、深さが不明であっても、皮膚の変色や周辺組織と比べて疼痛や硬結、熱感等がある場合はDTI としています。
- *NPUAPは、現在はNPIAP(National Pressure Injury Advisary Panel)に改称されている
表1 Shea分類とIAET分類
図1 NPUAP/EPUAP 分類
EPUAP(ヨーロッパ褥瘡諮問委員会)/NPUAP(米国褥瘡諮問委員会)著,宮地良樹,真田弘美監訳.褥瘡の予防&治療 クイックリファレンスガイド(Pressure Ulcer Prevention & Treatment).より引用したものにイラスト,写真を追加した米国向けの追加のカテゴリ
イラストレーション:村上寛人
日本褥瘡学会編:在宅褥瘡テキストブック.照林社,東京,2020:20-21.より引用