Part7 褥瘡(じょくそう)をやさしくケアするスキンケアと失禁への対応
褥瘡(じょくそう)を悪化させる失禁に対してどんなスキンケアを行う?2016年6月公開
褥瘡アセスメントに必須!改定された「DESIGN-R®2020」
ここだけは知っておきたいポイント
皮膚の湿潤は「浸軟」を引き起こします。浸軟は、“ふやけ”のことで、皮膚の角質細胞が過度の水分によって膨潤した状態です(図7)。皮膚が浸軟すると摩擦力は5倍にもなるといわれ、浸軟状態が持続すると、少しのずれでも皮膚損傷が起こりやすくなります。そのため、過度な湿潤への対応は重要です。
図7 浸軟とは
溝上祐子:オストメイトの天敵!スキントラブル.入門尿路ストーマケア,溝上祐子監修,メディカ出版,大阪,2004:94.より引用
皮膚湿潤の原因の1つが、尿・便失禁によるおむつ内の高温多湿環境です。排泄物が常に皮膚に接触する場合は、過度に湿潤しないためのケアが大切です。
尿・便失禁がある場合、ガイドラインでは、褥瘡発生予防のために「洗浄剤による洗浄後に、肛門・外陰部から周囲皮膚への皮膚保護のためのクリーム等の塗布を行ってもよい(推奨度C1)」としています。尿・便失禁が持続している患者に、「浅い褥瘡」が発生することをよく経験します。洗浄剤によって排泄物の汚れを取り除き(図8)、その後再び排泄物が皮膚に触れないようにすることが必要です。
図8 殿部の洗浄の様子
愛護的に洗う。
また、洗浄後には、皮膚保護のために撥水効果のあるクリームを塗布することも重要です。ディスポーザブルの手袋を用いて多めのクリームを皮膚にのばしていきます。スプレータイプのものを用いてもよいでしょう(図9)。
図9 撥水効果のあるスキンケア用品の例
|