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Part6 褥瘡(じょくそう)治療・ケアのカギを握る
ドレッシング材・外用薬の使い方

外用薬が効くメカニズムを知って、効果的な使用法を

特集:ナースが知っておきたい
褥瘡の正しい見方と外用薬の使い方
その2 褥瘡の外用薬の正しい使い方

 外用薬にはさまざまな種類がありますので、その薬理作用を知って、創の状態に沿った適切な使い方をする必要があります。まず、外用薬は「主薬」と「基剤」からできていることを理解しましょう(図6)。「主薬」というのは薬効成分のことで、ステロイド、抗生物質など薬剤の効果を発揮する部分です。一方、「基剤」には薬効はありません。配合されている薬剤が効果を表すように、薬剤を保持する役割をもっています。創の治癒において湿潤環境が重要であることはすでに何度も述べてきましたが、湿潤環境の保持に「基剤」の役割は欠かせません。創傷に用いる外用薬は創面に直接塗布されることから、基剤は特に大切です。外用薬を選択する際には、主薬と同時に基剤についてよく知っておく必要があります。

図6 外用薬の構成(主薬と基剤)

図6 外用薬の構成(主薬と基剤)

1.基剤の特徴と分類

 基剤は「疎水性基剤」「親水性基剤」に分けられます(図7)。「疎水性基剤」は「油脂性基剤」ともいわれ、油分だけでできていて水となじみません。そのため、少量の滲出液を創面にとどめておくことができ、保湿効果、創の保護効果が期待できます。創の上皮化に使われる基剤です。

 水と親和性の高い「親水性基剤」は、さらに「乳剤性基剤」「水溶性基剤」に分けられます。

 「乳剤性基剤」は、水と油を界面活性剤で混(こん)じたもので、「水中油型(O/W型):水分の中に油を含むもの」と「油中水型(W/O型):油分の中に水分を含むもの」に分けられます。

 「水中油型(O/W型)」は、乾燥した創面に水分を補給するもので、滲出液の少ない乾燥した創面が適応になります。「油中水型(W/O型)」は含有する水分が少なく補水機能は弱いため滲出液が適正な創に用いられます。

 「水溶性基剤」は、水分を吸収して溶解するものです。滲出液を吸収しますので、滲出液の多い創に適しています。

 基剤による外用薬の分類とその主な種類を表4に示しました。

図7 基剤の分類

図7 基剤の分類

表4 外用薬の基剤による分類と機能

※幅が広い表は横にスクロールできます
分類 基剤の機能 基剤の種類 外用薬(代表的な製品)
疎水性基剤 油脂性基剤

保湿

図 保湿

白色ワセリン、
精製ラノリン

プラスティベース

亜鉛華軟膏

アズノール® 軟膏

プロスタンディン® 軟膏

親水性基剤 乳剤性基剤 水中油型
(O/W型)

補水

図 補水

多種類の添加物による乳剤性軟膏 オルセノン® 軟膏、
ゲーベン® クリーム
油中水型
(W/O型)

保湿

図 保湿

多種類の添加物による乳剤性軟膏 リフラップ® 軟膏、
ソルコセリル® 軟膏
水溶性基剤

吸水

図 吸水

マグロゴールなど アクトシン® 軟膏、
カデックス® 軟膏、
ブロメライン軟膏、
ユーパスタコーワ軟膏
髙橋眞一:外用薬-“これだけ知って”選択の基準.エキスパートナース2015;31(6):20.よりまとめた

2.主薬の特徴と種類

 褥瘡に使われる外用薬の主薬に期待される薬効は次のようなものです。①壊死組織の除去作用、②抗菌作用、③肉芽形成・上皮化作用、④その他の作用。

 それらの薬効に応じて、DESIGN—R®の「大文字」を「小文字」にしていくような薬剤の選択と使用をしていかなければなりません。

①壊死組織の除去作用

 壊死組織除去作用がある主薬は、「カデキソマー(カデックス®軟膏)」と「タンパク分解酵素(ブロメライン軟膏)」です。

 ゲーベン®クリームの壊死除去作用は「主薬」のためではなく「基剤」の補水による壊死の融解促進によるものと考えられます。

②抗菌作用

 抗菌作用のある主薬は、ヨウ素・ヨードなどの「ヨード系化合物」(カデックス®軟膏、ヨードコート®軟膏、ユーパスタコーワ軟膏)と「銀」を含むもの(ゲーベン®クリーム)です。

③肉芽形成・上皮化作用

 肉芽形成促進作用、上皮化促進作用をもつ主薬はたくさんあります。

 作用別に主薬を一覧表に示しました(表5)。

 このような基剤と主薬の効果を理解したうえで、適切な外用薬を選択することが必要です。

表5 褥瘡に用いられる外用薬の主薬の分類

※幅が広い表は横にスクロールできます
商品名 主薬 薬理作用
抗菌効果
カデックス®軟膏 カデキソマー・ヨウ素 抗菌効果と壊死除去効果を併せもつ
ヨードコート®軟膏 ヨウ素 抗菌効果(滲出液を吸収し創面の湿潤保持)と潰瘍治癒促進効果
ユーパスタコーワ軟膏 ポピドンヨード・白糖 ポピドンヨードによる滅菌効果と白糖による創傷治癒効果
ゲーベン®クリーム スルファジアジン銀 幅広い病原菌に有効。特に緑膿菌に強い抗菌効果
壊死組織の除去
ブロメライン軟膏 ブロメライン タンパク分解酵素
カデックス®軟膏 カデキソマー・ヨウ素 抗菌効果と壊死除去効果を併せもつ
(ゲーベン®クリーム) 水中油型(O/W)乳剤性軟膏 (基剤の保水効果により壊死組織が融解)
肉芽形成・上皮化促進
アクトシン®軟膏 ブクラデシンナトリウム 肉芽形成と上皮化促進
プロスタンディン®軟膏 アルプロスタジル アルファデクス 肉芽形成と上皮化促進
オルセノン®軟膏 トレチノイン トコフェリル 肉芽形成促進
リフラップ®軟膏 リゾチーム塩酸塩 肉芽形成と上皮化促進
ソルコセリル®軟膏 幼牛血液抽出物 肉芽形成促進
フィブラスト®スプレー トラフェルミン 肉芽形成促進
その他
亜鉛華軟膏 酸化亜鉛 抗炎症作用(むしろ基剤の保護効果が重要)
アズノール®軟膏 ジメチルイソプロピルアズレン 抗炎症作用(むしろ基剤の保護効果が重要)
イソジン®ゲル ポビドンヨード 滅菌効果
髙橋眞一:外用薬-“これだけ知って”選択の基準.エキスパートナース2015;31(6):21‐22.を元に作成

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