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Part5 褥瘡(じょくそう)を治すための基本的な知識

湿潤環境で治すことの大切さ

2016年6月公開

 以前は、キズ(創傷)は乾燥させたほうが早く治るといわれていました。そのため、創部をドライヤーで乾かしたり、「消毒して」→「ガーゼを当てて」→「乾燥させる」という治療法が一般に行われていました。しかし、1950年代くらいから、湿潤状態のほうが創傷は早く治るというデータが出され始め、「湿潤環境下療法(moist wound healing)」の概念が提唱されてきました。なぜ、湿潤状態のほうが創は早く治るのでしょうか。それは、創部の滲出液には各種の細胞増殖因子が豊富に含まれているからです(表3)。創面からの滲出液が除去されないで保持された湿潤環境下では、真皮側の線維芽細胞、コラーゲンの増生が起こり良性の肉芽組織が形成されていきます(8)。そして、創表面における表皮の遊走・移動が円滑に進み上皮化が速やかに起こることがわかってきたのです。

表3 創面の滲出液に含まれる細胞増殖因子

  • 血小板由来増殖因子(PDGF1:platelet-derived growth factor)
  • 上皮細胞増殖因子(EGF2:epidermal growth factor)
  • 塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF3:basic fibroblast growth factor)
  • トランスフォーミング増殖因子(TGF-β4:transforming growth factor-β)
  • 結合組織増殖因子(CTGF5:connective tissue growth factor)
  • 血管内皮増殖因子(VEGF6:vascular endothelial growth factor)

図8 湿潤環境下で創がよくなる状態

図8 湿潤環境下で創がよくなる状態

 湿潤環境下で創傷治癒を促す治療法を「湿潤療法」=「閉鎖ドレッシング」といいます。
湿潤療法が適用されるのは、良好な肉芽組織が準備された創傷です。感染を伴う場合や不良肉芽の場合には行わないほうがよいでしょう。そして、原則として「きれいな創面」に対して行うため、創面環境整備が前提になります。褥瘡処置における湿潤療法は表4のように行います。

表4 褥瘡処置における湿潤療法

創の洗浄 微温湯を用いて創、および褥瘡周囲の皮膚を洗浄する
洗浄水の拭き取り 過剰な水分は浸軟の原因になるため、拭き取る
外用薬の塗布 創の状態に適した外用薬を用いる
創傷被覆材の貼付 創よりも大きめのサイズで創を覆う
トップドレッシング ウレタンフィルムなどで創傷被覆材を固定する

切手俊弘:はじめての褥瘡ケア.照林社,東京,2013:61.よりまとめた

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