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Part5 褥瘡(じょくそう)を治すための基本的な知識

慢性期褥瘡(じょくそう)では「浅い褥瘡(じょくそう)」と「深い褥瘡(じょくそう)」によって治療法が変わる

 慢性期褥瘡では、まず「浅い褥瘡」か「深い褥瘡」かを見きわめます。DESIGN®重症度評価用で「d」が浅い褥瘡、「D」が深い褥瘡です。浅い褥瘡は「真皮までの褥瘡」で、深い褥瘡は真皮を越えて深部組織まで壊死に陥っています。DESIGN-R®の「深さ」の項目を見てみましょう(図2)。

図2 DESIGN-R®の「深さ」の項目に見る「浅い褥瘡」「深い褥瘡」

図2 DESIGN-R®の「深さ」の項目に見る「浅い褥瘡」「深い褥瘡」

 「浅い褥瘡」は、発赤(紅斑)、水疱、びらん・浅い潰瘍に分けられます。浅い褥瘡の局所治療は、「創の保護」「適度な湿潤環境の保持」の2つに尽きます。

1.浅い褥瘡の治療

①発赤・紫斑

 発赤・紫斑は、圧迫によって血管が障害され赤血球が血管外に漏出するために、皮膚が赤くなった状態です(図3)。発赤は、外用薬を使うよりも、ポリウレタンフィルムなどのドレッシング材で保護したほうがよいでしょう。また、貼付しても創部が視認できるような「真皮に至る創傷用ドレッシング材」を用いてもよい(推奨度C1)とされています。

図3 発赤と紫斑が混在している状態

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特徴的な形状をした発赤と一部紫斑が混在した褥瘡。形状からも原因の特定が必要。

②水疱

 水疱は、表皮と真皮の境界部に滲出液が貯留した状態です(4)。水疱でも外用薬よりもドレッシング材が多く用いられます。水疱は基本的に破らないようにして、ポリウレタンフィルムか、貼付しても創部が視認できるような「真皮に至る創傷用ドレッシング材」で覆います(推奨度C1)。ドレッシング材の交換は最長でも1週間とします。ドレッシング材の交換時に水疱が破れてしまった場合は、後述する「びらん」と同じような処置をします。

 水疱が著しく緊満してしまった場合は穿刺して内容物を排出してしまったほうが治癒が早いといわれています。破れた場合は、創が見えるドレッシング材、例えばハイドロコロイド、ポリウレタンフォーム、ハイドロジェルのシートタイプなどを貼付します。

図4 水疱とびらんの状態

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発赤と水疱、表皮剥離の混在した状態。

③びらん・浅い潰瘍

 びらんは、脆弱になった表皮が真皮から剥がれて滲出液が出た状態です(図5)。浅い潰瘍は、表皮が剥がれるだけでなく真皮の一部が損傷を受けて潰瘍化した状態です。びらん・浅い潰瘍には外用薬よりもドレッシング材の使用が主体となります。浅い潰瘍で上皮化を促すためにブクラデシンナトリウム(アクトシン®軟膏3%)やアルプロスタルジルアルファデクス(プロスタンディン®軟膏0.003%)などを用います。

図5 浅い潰瘍の状態

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尾骨部の表皮が剥離し、浅い潰瘍状態。

2.深い褥瘡の治療

 深い褥瘡は治療とともに局所の病態が変わってきます。そのため、創の状態を定期的にDESIGN-R®で評価して、進行に応じて治療法を変えていく必要があります。

 治療方針の基本は、DESIGN-R®の「大文字」を「小文字」に変えていくことです。慢性期の深い褥瘡における局所治療の基本スキームを図6に示しました。スキームの中で進める順番は、「N→n」(壊死組織の除去)、「G→g」(肉芽形成の促進)、「S→s」(創の縮小)の順です。その他の要素である、「I→i」(感染の制御)、「E→e」(滲出液コントロール)、「P→(-)」(ポケットの解消)は、適宜優先するものを考えてそれを先に進めます。それぞれの概要を表1に示します。

図6 慢性期の深い褥瘡における局所治療の基本スキーム

図6 慢性期の深い褥瘡における局所治療の基本スキーム

日本褥瘡学会編:褥瘡予防・管理ガイドライン.照林社,東京,2009:96.より引用

表1 DESIGN-R®の各項目の治療の進め方

N→n
壊死組織の除去
外科的デブリードマン、外用薬・ドレッシング材の使用により壊死組織を除去する
G→g
肉芽形成の促進
創面に良性肉芽が見られないか乏しい場合は、適切な外用薬やドレッシング材を用いて創の適度な湿潤環境を保持しながら肉芽形成を促進する
S→s
創の縮小
創の収縮は、肉芽組織の収縮反応と新たな上皮形成によって可能になる
I→i
感染・炎症の制御
感染の合併があるときは、まず感染の制御を優先する。深部膿瘍が疑われる場合は、ただちに切開・排膿をする。感染創は十分に洗浄する
E→e
滲出液コントロール
大量の滲出液は全身浮腫や創感染に伴って見られることが多いので、改善しなければならない。滲出液が少なすぎても創が乾燥してしまう
P→(-)
ポケットの解消
ポケットがある場合は、優先的にポケットを解消する

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