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Part5 褥瘡(じょくそう)を治すための基本的な知識

「滲出液」のコントロールが褥瘡(じょくそう)治療のカギ

2016年6月公開

 褥瘡は適度な湿潤環境のもとで治癒が促進されることは前述しました(項目「湿潤環境で治すことの大切さ」参照)。適度な湿潤環境を維持するために重要なのが滲出液コントロールです。

 滲出液とは、上皮が欠損した創から滲み出す組織間液です。創傷における滲出液は、白血球や炎症性メディエーター、タンパク分解酵素、細胞成長因子などを含みます。その大部分は血管から漏出した血漿成分です。

 滲出液は創感染以外にも毛細血管漏出や浮腫を引き起こすさまざまな要因で発生します。それらの評価を的確に行って管理する必要があります。滲出液を評価するときはまずその量を見ます図11)。DESIGN-R®では量の評価はドレッシング材の交換回数で行います(「滲出液(Exudate)の採点方法」の項参照)。

 滲出液の評価においては、性状の観察も重要です。正常な治癒過程を経ている滲出液は透明から薄い黄色で、粘性が低いものです。感染が起こると滲出液は色やにおいが変化します。滲出液の観察のポイントを表5に示しました。

図11 滲出液の多い褥瘡

写真

褥瘡発生後数か月が経過。滲出液が多く周囲皮膚の浸軟を認める。この状態から、肉芽の浮腫状態が持続し、創傷治癒はストップした。

表5 滲出液の観察ポイント

色調の意味
特徴 考えられる原因
透明・琥珀 漿液性滲出液。「正常」とみなされることが多いが、線維素溶解酵素産生菌(黄色ブドウ球菌等)による感染のほか、尿瘻またはリンパ瘻が原因である可能性がある
混濁、乳白色、クリーム状 フィブリン網あり(炎症反応の1つである線維性滲出液)または感染(白血球と細菌を含む化膿性滲出液)である可能性がある
ピンクまたは赤 赤血球が存在するためで、毛細血管が損傷している可能性がある(血液性または出血性滲出液)
細菌感染を示す可能性がある(緑膿菌等)
黄または茶 スラフや腸瘻・尿瘻による物質が原因である可能性がある
灰または青 銀含有ドレッシング材使用時に発生する場合がある
粘稠度の意味
粘性が高い(高粘度で時に粘着性あり)
  • タンパク量が多い。理由は
    ‐感染
    ‐炎症
  • 壊死性物質
  • 腸瘻
  • 一部のドレッシング材使用時に発生する場合がある
粘性が低い(低粘度で流れやすい)
  • タンパク量が少ない。理由は
    ‐静脈性またはうっ血性心疾患
    ‐栄養不良
  • 尿瘻、リンパ瘻または関節腔瘻
においの意味
不快
  • 細菌増殖または感染
  • 壊死組織
  • 洞/腸瘻または尿瘻

World Union of Wound Healing Societies (WUWHS). Principles of best practice: Wound exudate and the role of dressings. A consensus document London: MEP Ltd. 2007.より引用.
日本褥瘡学会編:褥瘡ガイドブック‐第2版.照林社,東京,2015:54.より引用

 滲出液が多い場合には、滲出液吸収作用のある外用薬の使用が勧められます。ガイドラインでは、「カデキソマー・ヨウ素、ポビドンヨード・シュガーを用いること」を勧めています(推奨度B)。さらに「デキストラノマー、ヨウ素軟膏を用いてもよい。(推奨度C1)」とされています。

 また、滲出液が多い場合のドレッシング材は、過剰な滲出液を吸収するポリウレタンフォームを用いることが勧められます(推奨度B)。滲出液の吸収力ではポリウレタンフォームはハイドロコロイドよりも優れているとされます。ポリウレタンフォームは、親水性ポリウレタンが過剰な滲出液を吸収・蒸散し、浸軟を防ぎます。ポリウレタンフォームとしては、ハイドロサイト®プラス、メピレックス®ボーダーなどが挙げられます。

 一方、滲出液が少ない場合の外用薬としては、ガイドラインでは「乳剤性基材の軟膏を用い、感染創ではスルファジアジン銀、非感染創ではトレノイントコフェリルを用いてもよい(推奨度C1)」とされています。スルファジアジン銀の商品名はゲーベン®クリーム、トレノイントコフェリルの商品名はオルセノン®軟膏です。

 滲出液が少ない場合のドレッシング材は、ハイドロコロイド(推奨度B)が勧められ、ハイドロジェルを用いてもよいとされています(推奨度C1)。ハイドロコロイドは、デュオアクティブ®、コムフィール、アブソキュア®‐ウンドなどです。ハイドロジェルには、ビューゲル®、グラニュゲル®、イントラサイトジェルシステムなどの商品があります。

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