Part4 褥瘡(じょくそう)状態評価の最新ツール DESIGN-R®(デザインアール)2020を理解する褥瘡状態評価ツール「DESIGN」の誕生
この章は、一般社団法人日本褥瘡学会編集『改定DESIGN-R®2020 コンセンサス・ドキュメント』
の内容をもとに具体的に解説しています。
2023年2月更新(2016年6月公開)
わが国発の褥瘡状態評価ツール「DESIGN」は2002 年に誕生しました。この年は、わが国で褥瘡対策未実施減算が始まった年です。これは、病院でチームによる適切な褥瘡対策を行わないと診療報酬において減算されるという、わが国で初めての減算システムでした。そのため、各病院に医師、看護師、薬剤師、理学・作業療法士、管理栄養士などの多職種からなる褥瘡対策チームが組まれました。
ここで問題になったのが、これら多職種が異なる褥瘡分類の考え方をもっていたということでした。例えば、「Ⅰ度の褥瘡」というとき、医師は皮膚が欠損している潰瘍を指し、ナースは皮膚が破れていない発赤を指していました。このように判断が異なっていたのは、医師は潰瘍になってから治療を開始するのですが、ナースは発赤の状態からケアを始めるためです。
医師は治療に役立てるため、ナースはケアの評価に使うために「重症度分類」と「定量化」の両方を満たすツールが必要でした。そこで生まれたのが「DESIGN」です。
DESIGNは「深さ:Depth」「滲出液:Exudate」「サイズ:Size」「炎症・感染:Inflammation/Infection」「肉芽:Granulation」「壊死組織:Necrotic tissue」の6項目からなり、その欧文の頭文字をとって「DESIGN」と名づけられました。さらに、ポケットがある場合は「ポケット:Pocket」を付け加えます。各アルファベットを用いて、重症度が高いときは大文字で、低いときは小文字で表現することになりました。DESIGN には「重症度分類用」(図1)と「経過評価用」があります。各項目の大文字が小文字になるように治療を行い、毎週の得点の変化で介入の効果を観察することができるようになりました。
図1 DESIGN 重症度分類用