ガイドラインに基づく まるわかり褥瘡ケアガイドラインに基づく まるわかり褥瘡ケア

アルメディアWEB会員限定 ダウンロード数 第1位の「褥瘡を防ぐために一番大事な体圧管理」 要約資料(PDFファイル)ダウンロード アルメディアWEB会員限定 ダウンロード数 第1位の「褥瘡を防ぐために一番大事な体圧管理」 要約資料(PDFファイル)ダウンロード

Part10 在宅の褥瘡(じょくそう)患者にはどのようにアプローチするか

在宅で褥瘡(じょくそう)患者をみる場合の基本とは

2016年6月公開

褥瘡予防に必要な体位変換とは?

 病院であろうと在宅であろうと褥瘡予防・管理の基本原則は同じです。しかし、在宅では、病院で使えるような医療機器を容易に使うことはできません。マンパワーも限られていますから、たとえば体位変換を頻回に行うことも難しいでしょう。そして、体圧分散用具やドレッシング材など、保険がきかないものを使う場合には、患者負担になってしまうことも配慮する必要があります。何より在宅では、患者本人と介護する家族が日常的に褥瘡管理ができるようにサポートすることが最も大切です。

 それらのことを踏まえたうえで、在宅で褥瘡予防・管理を行うポイントについて考えてみましょう。

 在宅褥瘡管理の基本は、日常生活の支援です(表1)。

表1 在宅褥瘡管理の基本

  • リスクアセスメント
  • 圧迫・ずれの除去
  • 皮膚の清潔
  • 栄養管理
  • 在宅療養者・ケアギバー(家族等)の指導
  • 治療の原則:感染コントロール、壊死組織の除去、肉芽組織の増生、上皮化・表皮再生の促進

1.褥瘡の予防

 在宅では、ケアギバーである家族やホームヘルパーがキーパーソンになります。褥瘡の発生を見つけるのもこれらのキーパーソンであることが多いでしょう。そこで、皮膚の観察方法や発赤の見分け方などを教育する必要があります。発赤こそが皮膚の状態チェックのポイントになります。

 在宅ケアの良否を決定づけるのは、ケアマネジャーの判断です。そこで、ケアプランに積極的に褥瘡予防の手立てを組み込んでもらうようにします。褥瘡予防のためには、適切な体圧分散用具の選択、使用が不可欠です。在宅で使えるマットレスなどの福祉機器を貸与する制度も利用できます。そのためにも、ケアマネジャーとの綿密な打ち合わせが必要になります。褥瘡予防の手順を図1に示しました。

図1 褥瘡予防の手順

図1 褥瘡予防の手順

日本褥瘡学会編:在宅褥瘡予防・治療ガイドブック.照林社,東京;2015:3.より引用

2.褥瘡の発生後

 褥瘡が発生してしまったら、主治医に相談し、訪問看護師、ソーシャルワーカー、理学療法士、薬剤師、栄養士など多職種連携のもとにケア体制を敷きます。

 褥瘡ができてしまうと創部にばかり目がいきがちになりますが、本当に必要なのは、圧迫・ずれの除去、皮膚の清潔、栄養などの生活環境の整えです。在宅では特に療養生活環境の調整を第一に考えましょう。

 創の局所治療・ケアの原則は変わりません。創内・創周囲の洗浄を行って清潔にし、創を湿潤状態に保つことが必要です。褥瘡発生後のケア手順を図2に示しました。

図2 褥瘡発生後のケア手順

図2 褥瘡発生後のケア手順

日本褥瘡学会編:在宅褥瘡予防・治療ガイドブック‐第3版.照林社,東京;2015:4.より引用

 在宅では、高価なエアマットレスやドレッシング材などの医療機器は、なかなか使えないことが多いでしょう。在宅で利用できる福祉機器や、社会・人的資源を有効に使えるような調整が必要です。そのためにも、ケアマネジャーやソーシャルワーカーと相談して、療養者や家族が自分たちで行える褥瘡管理の体制をつくることが大切です。

 在宅での褥瘡管理を進めるためには、家族・ヘルパーへの教育・指導が重要であることは前述しました。具体的な指導内容を表2にまとめました。

表2 在宅での褥瘡管理の指導ポイント

圧迫の除去
  • 体圧分散用具は、医師、看護師・ケアマネジャーなどと相談し、療養者の状態に適したものを選択する
  • 円座を使わないこと、ウレタンマットレスの日干しは行わないことなどを指導する
  • ベッド上除圧・車椅子上除圧の方法を指導する
  • 体位変換の大切さを強調し、体位変換スケジュールを示す
  • ポジショニングの方法、ポジショニングピローの使い方を教える
  • 頭側挙上は30度までを原則とする。止むを得ず45度以上にするときは、できるだけ短時間にして二層式エアマットレスの使用を勧める
栄養摂取
  • 口から食べることを最優先にする
  • 口から食べられない場合は、栄養摂取の適切な方法を医師と相談して決める
  • ケアマネジャーと相談して、配食サービスなどを利用する
  • サプリメント、半固形状流動食など、栄養剤の知識を教育する
スキンケア
  • 入浴・清拭の際は低刺激石けんを使い皮膚を擦りすぎないことを指導する
  • 創周囲や骨突起部のマッサージは行わないように指導する
失禁ケア
  • おむつ使用の場合、排泄物の量・性状によって適切なおむつを選択する
  • 下痢や水様便が持続する場合は医師・看護師に相談する
  • 排泄物の刺激から皮膚を保護するための皮膚保護剤の使い方を指導する
局所ケア
  • 通常の褥瘡の局所ケアに準じ、在宅での特性に合わせて臨機応変に行う
異常時の対応
  • 創部の感染徴候を発見したとき、食事・飲水の摂取ができないとき、ケアギバーの病気などで介護力が落ちたときなどは、主治医・訪問看護師に緊急連絡する
  • 緊急連絡先を書いた紙をわかるところに貼っておく

日本褥瘡学会編:在宅褥瘡予防・治療ガイドブック‐第3版.照林社,東京;2015:6-7.を元に作成

「Part10 在宅の褥瘡患者にはどのようにアプローチするか」の資料をダウンロード

会員登録(無料)をすると、各章の勉強会等で使える便利な要約版資料がダウンロードできます。

褥瘡予防に必要な体位変換とは?