最新ガイドライン、DESIGN-R®2020に基づく 新まるわかり褥瘡ケア

Part7 褥瘡(じょくそう)治療・ケアのカギを握るドレッシング材・外用薬の使い方ドレッシング材の使い方の基本

2023年2月更新(2016年6月公開)

 ドレッシング材を使用するにあたっては、いくつかの原則があります。まず、ドレッシング材は基本的に「感染創には使用しない」ことです。感染創は、発赤・腫脹・熱感・疼痛などの感染徴候を示しています。感染創をドレッシング材によって閉鎖すると感染性の滲出液が停留してしまい、さらに病原微生物を増殖させてしまいます。そのため、感染創や感染リスクの高い時期には閉鎖性のドレッシング材はけっして使用しないようにします。創が湿潤状態になるということは治癒を促進する一方、細菌にとっても増殖しやすい環境になっているということです。その場合は、表1に示したような感染コントロールを優先することが重要です。
 もう一つは、「ドレッシング材の交換を適切に行う」ことです。言い換えれば、「ドレッシング材は長くもたせることを目的としない」ことです。
 ドレッシング材は、滲出液の量に応じて数日に一度、最長で1週間以内に交換します。ドレッシング材の交換を適切に行うことで、良好な湿潤環境が保持できます。良好な湿潤環境のめやすは、肉眼的に創面が潤い皮膚が浸軟していない状態です。交換の時期を逸しないためにも創の的確なアセスメントは常時必要です。そして、創の状態は常に変化していくため継続的に評価をしていく必要があります。吸水性の高いドレッシング材を使用することによって貼付できる期間を調整することは可能です。
 さらに、「創周囲の皮膚の感染症にも注意する」ことは大切です。皮膚が真菌感染などを起こしていると湿潤環境によって症状が悪化してしまいます。ドレッシング材貼付部位の皮膚が健常であることを確認しましょう。
 こうした原則に基づいてドレッシング材を選択し、適切に使用していくことが大切です。

表1 感染創の局所管理の原則

  1. ①排膿および滲出液のドレナージ
  2. ②壊死組織の除去
  3. ③創洗浄
  4. ④抗菌薬の適正使用

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