Part1 褥瘡(じょくそう)はどうしてできる? どう治す?
褥瘡(じょくそう)はどうやって治す?2016年6月公開
褥瘡アセスメントに必須!改定された「DESIGN-R®2020」
ここだけは知っておきたいポイント
慢性創傷は、図9の①~④の治癒過程のどこかが障害されて治癒が遅れたものです。特に褥瘡では、②炎症期が遷延化・慢性化している場合が多いといえます。②炎症期から③増殖期になかなか移行しないのです。つまり、「線維芽細胞が周辺から遊走して、細胞外マトリックスを再構築し、血管新生が起こり、肉芽組織が形成される」過程に障害が起こるわけです。増殖因子・サイトカイン組成の変化による創傷治癒障害が起こっていたり、細胞外マトリックスの異常が起こっている場合です。本来、サイトカインが活性化していれば傷は治るのですが、サイトカイン活性が低下するということは、栄養状態が悪かったり何らかの原因で全身状態が落ちていたりすることが考えられます。
慢性創傷が②から③の状態に移行して治癒段階に移るためには、「創面環境調整(wound bed preparation:ウンド・ベッド・プリパレーション)」が必要ですが、それについては後の章で述べます。